なぜか胸騒ぎがする。
慌てて部屋へと急ぐ。
今までの浮ついた気持ちが消し飛んで、急に不安が込みあげてくる。
セックスの合間に連絡を入れておけばよかったかも、、、
いやきっと大丈夫、、、
待っているうちに眠ってしまったのかも知れない。
絶対にそうだ、、、
無理に自分を納得させようとする。
しかし息が苦しくなるぐらい不安が押し寄せる。
マキは部屋へと駆け込んだ。
真暗な部屋、、、
そして誰もいない、、、
すべてを探したがユウトは居ない、、、
冷え冷えとした部屋に不安が更に募る。
いいや、分かるはずがない、、、
何か用事ができて、、、
ひょっとしてナナミと逢っているんじゃ、、、
その時、テーブルの上の引きちぎられた紙切れに気付く。
なに、、、これ、、、
婚姻届、、、
二人のサインが引きちぎられていた、、、
マキは全てを悟った。
ユウトは浮気などしていない。
マキ一筋に想ってくれていた、、、
リクの言っていた事はデタラメだった、、、
そしてなぜだか、さっきまで自分がしでかしてしまった事をユウトは知っている、、、
部屋を改めて見てまわる。
ユウトの私物がほとんど無くなっている。
写真立てに飾られていた二人の写真もビリビリに裂かれゴミ箱の中、、、
そして玄関先に転がった合鍵、、、
絶望が恐怖と共に一気にのしかかってくる、、、
こわい、、、こわい、、、こわい、、、こわい、、、
どうしたらいいの、、、わたし、、、どうなるの、、、ユウトが、、、本当に居なくなるの、、、わたし、捨てられの、、、
想像もつかない、、、
とにかく、ものすごく怖い、、、
カラダがガタガタと震える。
両腕でカラダを自ら抱きしめる。
昔、汚れていたカラダ、、、
ユウトはそんな事無いと言ってくれた、、、
それなのに、、、わたしはそんなユウトを裏切って、今夜、自分でまた汚してしまった。
ユウトのお嫁さんになれる。
その満ち足りた幸福を当たり前の様に感じるようになって、今自分がしている事はほんのひと時の別世界の出来事だと思い込もうとしていた。
ユウトの浮気を言い訳にして、どうせすぐに元に戻れると考え、別の世界だから楽しんでも構わないという気分になっていた。
わたしは生まれ変わってなどいなかった、、、
何がわたしにはオトコに免疫があるから浮気など絶対にしないだ、、、
好みの顔をした男にチヤホヤされたら簡単に股を開くクズで最低の女、、、
愚かで淫らな昔のままのオンナだった。
とにかくユウトに逢いたかった。
逢って全てを打ち明けて謝りたかった。
許されなくてもいい、、、
もし許されるなら、今度こそ生まれ変わる、、、
ユウト以外の男には二度と心を開いたりしない、、、
ユウトに一生の全てを尽くして償って生きたい。
マキはとりも直さずユウトの部屋へと向かった。
つづく
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