二人の密会は続けられた。
今日限りと言いながら、二度、三度と関係を重ねていった。
そんなある日の夜、千夏が思い詰めた顔をしてユウトに告げてきた。
「ユウト、、、話があるの、、、」
ユウトはすぐに思い当たった。
「ユウト、、、クルミと逢っているの?」
こんな日が来るのは分かっていた。
「ゴメン、、、」
「どうして、なの?」
「全部、俺が悪い、、、」
言い訳はしたくない。
千夏は怒っているようには見えない、、、
涙目で不安そうに震えていた。
「クルミのこと、、、わたしより好きになったの?」
今にも泣き出しそうな声だった。
千夏のことを誰よりも愛している。
愛しているのは千夏だけ、、、
でもそんな陳腐な言い訳はしたくなかった。
俺は千夏を裏切った。
結局は欲望に負けた。
「どうして、応えてくれないの?」
自分の方がずっと好きだと言ってくれると思っていた。
そうしたら、クルミと逢わない約束をさせて、許すつもりだった。
それなのにユウトは何も言ってくれない。
それを千夏は質問に対する肯定だと受け取った。
「俺、出て行くよ、、、本当にごめんなさい、、、」
「そんなこと言ってないよ、、、わたしはそれでもユウトが好き、、、」
「俺には資格がない、、、終わりにしよう、、、」
涙を流してユウトを説得する。
「わたしが悪かったの、、、お願い、そんなこと言わないで、、、ユウト、行っちゃイヤだ、、、」
「違うよ、、、俺が全て悪いんだ、、、もう、元には戻れない、、、本当にゴメン、、、」
ユウトは頑なだった。
いくら千夏がすがっても決心は変わらなかった。
そしてユウトは出て行った。
つづく
※元投稿はこちら >>