ようやく逢える時間が取れるようになり、デートの機会も増えつつあった。
寸止めの関係が続いているせいなのか、マキの色気はダダ漏れでユウトの男を刺激してくる。
もちろんそれだけではない。
一途に慕ってくれるマキはユウトにとってかけがえのない存在そのものだった。
素直に自分をさらけ出せるやすらぎを与えてくれる存在、、、
マキにとってもそうありたいと強く思った。
二人は逢える日が待ち遠しくて、胸をときめかせる毎日を過ごしていた。
そんなある日、マキがお泊まりに来た。
明日は午前中まで二人は予定がない。
マキの手料理に舌鼓をうって夕食をとる。
マキの料理は抜群だ。
母親の手ほどきらしい。
こんな日を夢見てユウトのために覚えたんだよと言ってくれる。
幸せな気持ちに満たされる。
交代でお風呂に入った。
後に入ったユウトが出てくるとマキがテーブルの上にチケットを置いた。
「これ二人でどうかな?」
超がつく高級ホテルの宿泊券だった。
おいそれと一般人が泊まれる場所ではない。屋上にリッチなプールがいくつもあり、しかも、宿泊しているカップルと家族しか入れない。
もちろんユウトは噂に聞くだけだ。
「スゲえな、、、これ、どうしたの?」
おそらく軽く十万は越えているはずだ、、、
「お母さんが送ってくれたの、、、」
「お母さんがどうして?」
「わたし、、、お母さんにユウトと交際してるって言ったら、すごく喜んでくれて、、、」
「えっ、、、だって、俺のことなんて知らないだろう?」
「知ってるよ、、、わたしが変わることができたの、ユウトのおかげだって、、、」
「どういうこと?」
「わたしね、、、親に反抗していたの、、、ウザいって、、、勉強もしないで、遊んでばかりいて、、、いつも両親とケンカしてた。
あの頃のことだな、、、
ユウトは思い当たる。
「ユウトが好きになって、変わらなくちゃて思ったとき、母さんが何も言わないで手伝ってくれたの、、、父さんもだけど、、、わたし、親に愛されているんだって、ようやく気づいて、、、何でも相談するようになって、、、ユウトのことを話したの、、、そうしたら母さんも協力するって、ガンバってって、、、応援してくれた、、、だから、ユウトと付き合ってること、どうしても知らせたくて、、、」
「そうか、、、いいご両親がいて、マキは幸せだな、、、」
「うん、、、本当にわたし子供だった、、、これもユウトが分からせてくれたんだよ、、、」
「そんなことない、、、素晴らしい親に感謝しなくちゃ、、、」
「うん、、、分かってるけど、、、わたし、母さんに最近、ユウトに逢えなくて寂しいと言ったの、、、そうしたら、心配してくれて、、、これで仲良くしなさいって、、父に内緒で送ってくれたの、、、、ユウト、だから、使ってくれるかな?」
「そうだね、、、そういうことなら、喜んで使わせて貰おうよ、、、」
「うん、ユウト、ありがとう、、、」
「お礼を言うのは、こっちの方だよ、、、俺、マキのお母さんのファンになっちゃうかも、、、」
「お母さんはとっくにユウトのファンだよ、、、」
「まさか?」
「わたし、ユウトのこと全部話したから、、、ユウトのこと、どんな人か、どんなに好きが、、、生まれ変わって、もう一度、告白するって、、、お母さん、黙って頷いてくれて、、、だから、お母さんもユウトのファンになったの、、、」
「そうだったのか、、、ますますお母さんのこと、、、ファンになっちゃうな、、、」
「ダメだよ、、、ユウトはわたしのファンになるの、、、」
「もう、、、なってるよ、、、」
二人は見つめ合う。
二人が初めて結ばれる場所がこれではっきりと決まった。
つづく
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