「ううん、、、でも、わたしマユのこと好きだったから、、、誰にでも優しいし、、、裏がなくて、はっきり言ってくれるし、、、ユウトは仲良しだったよね?」
「ああ、俺はそのつもりだった、、、」
「うらやましかったな、、、よく一緒にいたものね、ユウトと、、、」
「どうかな、、、でもマユはすごくいいヤツだったよ、、、人間としても、女としても、、、」
「大切な人だったんだね、、、」
「そうだな、、、俺になんかもったいないぐらい大切な人なのに、俺はして貰っているばかりで、何もしてやれなくて、、、最近は逢ってもいなかった、、、最低だよ、俺なんか、、、」
「そんなことないよ絶対に、、、でも本当に羨ましい、、、わたしも一度でもいいからユウトにそう言われたい、、、」
「やめておけよ、、、俺みたいな薄情な男、、、こんなときに涙も流せないヤツなんか、、、」
「ユウト、、、泣いてるよ、、、さっきからずっと、、、」
えっ、俺、、、泣いているのか?
ポロポロと涙がこぼれているのに初めて気づく。
あんなにけなげだったマユに、俺は結局何もしてやれなかったことがたまらなく辛い。
嗚咽をこらえることが出来ない。
その時、ユウトの顔がふんわりと温かな感触に包まれた。
優しく抱き寄せてくれた本宮の胸に包まれていた。
「泣いていいんだよ、ユウト、、、わたしが隠してあげるから、、、」
背中を撫でてくれる温もりに癒される。
そして本宮の胸の中はなぜかユウトの心を穏やかに包んでくれる。
しばらくしてユウトは体を起こした。
「ごめん、、、俺、男のくせに情けないな、、、
でも本宮、ありがとう、、、」
「ううん、他ならぬユウトのことだからね、、、気にしないで、、、」
「そういえば本宮、今何してるんだ?」
「わたしは大学生だよ、、、1浪したけど、やっとね、、、」
「そうか、、、良かったな、、、どこの大学?」
「フフッ、それは秘密、、、今のところは、、、」
「そんなこと言わないで教えてくれよ、、、」
「ダーメ、、、いつかね、、、」
「そっか、いつかか、、、それも良いかも、、、じゃあ、俺帰るわ、、、」
「ねえ、本当に大丈夫?もしよかったら朝ま
で、、、一緒にいようか?」
「えっ、、、それって、、、」
「そういう意味だよ、、、わたしはユウトだったらそういう関係になっても構わない、、、それにこれだけは信じて、、、わたしは清らかなオンナじゃないけど、、、わたしはユウト以外の人にこんなことは絶対に言わない、、、」
熱い瞳でユウトを見つめていた。
「うん、信じるよ、、、だけど今日はやめておく、、、マユに怒られるからな、、、」
「うん、、、それが良いかもね、、、ユウトは明日も来るの?」
「うん、、、」
「わたしは残念だけど大学の都合で朝一で戻らなければならないんだ、、、」
「そうか、、、本宮の分まで俺がお参りしておくよ、、、」
「お願いね、、、」
「本宮、また逢えるよな?」
「うん、絶対逢えるよ、、、間違いなく、、、」
「そうか、、、よかった、、、」
今度はいきなり本宮が抱きついてきた。
両腕をユウトの首にまわしてきて、、、
「チュッ、チュッ、、、」
「んっ、んんっ、、、」
唇を重ねて、本宮はすぐに離れた。
上目遣いでユウトを見つめてくる。
「ユウトが悪いんだよ、、、よかった、なんて言
うから、、、わたしの気持ち、ずっと変わっていないんだからね、、、」
「えっ、、、」
「好きだよ、ユウト、、、今日、もっと好きになっちゃった、、、あは、、ハズい、、、じゃあ、またね、、、」
そう言って本宮は駆けて行った。
こういうところは変わらないな、、、
唇に残る本宮の感触を思い出しながらユウトは実家へと向かった。
つづく
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