とある休日、ユウトはルミナとショッピングに出かけていた。
本来はマユを含めた3人での予定だったが、マユの外せない急用のため、二人だけの買い物となった。
結構な量の買い物をした。
途中、ユウトを意識させるため、予定にはなかった下着も購入した。
さすがに一緒に選ぶことは出来なかったが、外で待っていてくれたユウトを刺激するようににルミナは話をした。
「よかった、、、気に入ったのがあって、、、ユウト、待たせてゴメンね、、、」
「全然、大丈夫だよ、、、」
その優しい笑みに心が温まる。
まるで二人だけのデートみたいに、、、
「ほんとユウトって、優しいね、、、あーあ、やっぱりユウトに選んで欲しかったな、、、」
「それは、、、ダメでしょう?」
少し、ユウトの顔が赤い、、、よしよし、、、
「どうして?わたし、ブラのサイズがなかなかなくて大変なんだから、、、」
「そう、、なのか?」
益々、赤くなるユウトが可愛くて、更に言葉を続ける。
「Gカップなんだよ、、、マユはEだけど、、、わたし、みんなが羨ましい、、、」
「どうして?」
ユウトの視線が胸に注がれるのが嬉しい。
ルミナは胸を張るようにして更にユウトを刺激する。
「だって、、、みんな、可愛いのを選べるんだよ、、、わたし、アンダーがあまりないから、どうしても大人っぽくて、エロい感じになっちゃうんだ、、、」
「そ、そうか、、、」
ふふっ、、、想像しているみたい、、、
「ねえ、ユウト、、、ユウトに今日買ったブラしているところ、、、見て欲しいな、、、」
「えっ、、、」
「ハハハ、、、冗談だよ、、、」
「ルミナ、、からかうなよ、、、」
「ゴメン、ゴメン、、、だって、ユウト、可愛すぎ、、、」
「くそっ、、イジられてる、、、」
「、、、でも、ユウトだったら、、、いいよ、、、」
小さい声でそう呟く。
「えっ?」
ルミナは聞こえ無い振りをして買い物を続けた。
結構な荷物になったが、ほとんどをユウトが持ってくれる。
交差点で信号待ちをしていると、向かい側に見覚えのある人が立っていた。
「あれ、、、生徒会長の飛澤さんじゃない?」
「そう、、みたいだな、、、」
人目を引く際立つ美貌。
こんなところで逢いたくはなかった。
「あれ、、、隣の人、、、彼氏なのかな?」
千夏の横にユウトほどの長身の男が立っていた。
まだユウトに気付くことなく、楽しげに話をしていた。
整った顔立ちをした、明らかに年上の男。
噂の大学生の彼氏に違いない。
心をゆるしたような笑顔で話しかけている千夏。
いったい何を話しているんだろう?
見ているだけで胸が締め付けられるように苦しくなる。
俺はやっぱり、、、
そのとき、ルミナが腕を組んできた。
「オイ、、、」
「いいじゃん、、、別に、腕くらい組んだって、、、」
「荷物持ちのうえに、それかよ、、、」
「文句言わないの、、、せっかくのデートなん
だから、、、」
「だから、デートじゃないつうの、、、」
「はいはい、、、でも会長に見せつけてやらないと、、、」
「なんだよ、、それ、、、」
ルミナの気まぐれに呆れながら、少しだけ気持ちが治まる。
鋭いルミナのことだ、何かを感じ取っているのかも知れない。
再び千夏に目を向けると、こちらに気付いたらしく、目を見開いたようにしてユウトを見つめていた。
信号が青になり、みんなが歩き始めても何故だかその場を動こうとしない。
「気付いてるみたいだよ、、、挨拶して行く?」
「ううん、、、やめておこう、、、」
「そうだよね、、、邪魔しちゃ悪いもね、、、」
しきりに男が話しかけていたが、千夏はうわの空でユウトたちを見つめていた。
すれ違い様に会釈をしただけでユウトは通り過ぎる。
「ユウトくん、、、」
かすれた声で千夏が呼んだ気がした。
「よかったの?」
「いいんだ、、、これで、、、」
それからルミナはしきりに他のことを話しかけてきた。
何かを察したルミナが気を遣っているのは明らかだった。
ユウトは悟られないように応えてはいたが、それも限界だった。
二人は買い物を切り上げ、家路についた。
ルミナを家まで送り、荷物を渡すと部屋にあがるように勧めるルミナを断り家に帰った。
忘れたはずなのに、、、
アイツが千夏の恋人、、、
二人はあれから、、、
キスをして、、、それから、、、
悔しくて、苦しくて泣きそうになる。
メールの着信音が鳴る。
『今日はありがとう、、、わたしはいつでもユウトの味方だからね、、、』
ルミナからだった。
ユウトは必死に涙をこらえていた。
つづく
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