その日の学校帰り、話が話だけに余り人には聞かれたくない。
ユウトは本人の提案もあり千夏の自宅を訪れていた。
ユウトは初めてだったが、噂に聞くとおりのかなりの豪邸だ。
千夏は一人娘で両親は留守にしており帰りは遅いということだったため、ユウトは初め遠慮したのだが、千夏は意に介さず、部屋へと通して話を聞いてくれた。
「そんなことがあったんだね、、、」
「俺、カナコの浮気ももちろんショックだったけど、、、それより、二人が俺たちを裏切りながら平気で仲間たちと一緒に過ごしていたことが、、、どうしても許せないんです、、、」
「確かにそうね、、、うーん、でも、、、みんなの前で浮気してますなんて言えるはずが無いし、、、きっと、藤村さんは辛かったんじゃないのかな?だから、お弁当も一生懸命に作っていたんだと思う、、、」
「そう、、、でしょうか?」
「うん、、、確かに独りよがりな人みたいだけど、、ユウト君のこと本気で好きみたいだし、、、普通、何度もセックスして気持ちよくされていたら、心も移って行くだろうし、、、こんなことがあったら、浮気相手に簡単に乗り換えちゃうんじゃないのかな?それをしないということは、彼女なりにユウト君に対する想いはホンモノだったかも知れないね、、、」
「それなら、どうして?俺、、、キスしかしていないから、、、それじゃ物足りなかったということなんですか?」
「そうだとしたら、彼女は間違っている、、、それなら、その気持ちをユウト君にぶつけるべきだ、、、それを他の男となんか、、、それに、あの男、、、何か気に食わない、、、最初からそのつもりだったのかも知れない、、、親友の彼女をモノにして、、、腹の中でいい気になって、、、あっ、ゴメン、、、わたし、また、、、」
その通りだと思う。
ヤツの裏の顔を知ってしまった今は。
いずれにせよ、もう元には戻れ無いし、戻る気も無い。
「いいんです、、、俺、、、もう、、吹っ切れましたから、、、」
千夏が傍に来て、ユウトの瞳を心配そうに覗き込んだ。
「本当に?」
「本当、、です、、、」
「ユウト君は、、、まだキスしか、経験が無いの?」
「えっ、、、その、、そう、です、、、」
千夏の顔が近くにある。
あまりの美しさに顔が赤らむ。
「しちゃおうか?」
「えっ?」
「わたし、、、ユウト君の初めてが、、、欲しくなっちゃった、、、」
いつの間にか千夏にユウトの手は握られていた。
つづく
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