その日、千夏は机に向かっていた。
勉強などまるでアタマに入ってこない。
あれからユウトとは気まずいままだ。
勇気を振り絞って声をかけても、つれない態度でかわされてしまう。
間違いなくユウトはまた拒まれたと思ってる、、、
ちゃんと目を閉じたのに、、、
キスのあと、想いを告げるつもりだったのに、、、
ユウトに求められた口づけ、突然だったけど、まだわたしに気持ちが残っているのを知って嬉しかった、、、
でもこのままじゃ、いつかユウトの気持ちも離れてしまう。
あの時、両腕で思いきり抱きしめていればよかった、、、
そうしていたら、こんなことにはならなかった、、、
ユウトと熱い口づけをしたい、、、
ちゃんと想いを伝えて、あの時のようにカラダの奥でユウトを感じたい、、、
そのとき、いきなりドアが開いた。
大学生の従兄弟、陸だった。
「よお、千夏、、、」
千夏は顔をしかめた。
「いきなり、何なの、、、ノックぐらいしてよ、、、」
「それは悪かったな、、、でもお前こそ何だよ、、、いきなりメールで、もう二人じゃ逢わないって、、、」
「ごめんなさい、、、でも、そう決めたの、、、」
「勝手なこと言うなよ、、、俺が何かしたか?」
「ううん、でも陸には彼女もいるし、、、わたしにも好きな人がいるから、、、」
「そんなの関係無い、、、俺は逢いたいときに逢うし、やりたいことをする、、、」
何かいつもと雰囲気が違っていた。
いつもは優しげな表情が下品に見えた。
「どうやって家に入ったの?」
「叔母さんが開けてくれたよ、、、決まっているだろう、、、そう言えば、叔母さん、出かけて、、、しばらく帰って来ないって、、、」
なぜかニヤニヤしながら陸が告げた。
イヤな予感がした。
「そう、、、わたし、悪いけど、これから用事があるから出かけるね、、、」
「ダメだ、、、話はすんでない、、、」
目つきが何かいやらしい、、、
完全にアタマの中に赤信号が灯る。
ユウトの言葉が胸をよぎる。
「話は今度にしましょう?悪いけど急いでいるの、、、着替えるから出ていって、、、」
「だから、ダメだと言っているだろう?物わかりの悪いヤツだな、、、そうだ、都合がいいから、俺の目の前で着替えろよ、、、しょうが無い、高校卒業まで待ってやるつもりだったのに、、、今日、お前を俺のオンナにする、、、」
千夏は愕然とした。
「何言ってるの?あなたには恋人がいるじゃない、、、」
「恋人は恋人、、、お前は俺のオンナになる、、、お前みたいなイイ女、俺が放って置くわけ無いだろう?ずっと前から狙っていたんだ、、、」
「わたしたち、、、従兄弟同士なんだよ?」
「関係無いな、、、従兄弟同士でも結婚出来る、、、まあ、結婚はしないけど、、、セックスは何の問題も無い、、、たっぷり可愛がって、オンナにしてやる、、、安心しろ、気持ちよくしてやるから、、、俺のは最高だぞ、、、」
あの優しかった従兄弟がその本性を剥き出しにしていた。
あの時のユウトの言葉が腑に落ちる。
ユウトはこういうことを言いたかったんだ。
それをわたしは真面に取り合わなかった。
わたしはずっと騙されていた。
後悔と恐怖が襲ってくる。
わたしは犯される、、、
つづく
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