「あの子でしょう?」
驚きながらクルミの問いかけに黙って頷く。
「やっぱりモテモテだね、、、」
「たんなる気の迷いでしょう?本気じゃない、、、」
そう、あのときの千夏のように、、、
苦くて切ない思い出、、、
千夏は俺との熱い一時をきっと悔やんでいるのだろう、、、
俺へのいたわりから、、、そして気の迷い、、、
「そんなふうには見えなかったけど、、、彼女なりにかなり本気だったと思うよ、、、でも、ちゃんと断ったみたいね、、、、」
「当たり前でしょう、、、って、、聞いてたんですか?」
「違います、、、聞こえだだけ、、、」
「何ですか、それ?それにどうしてここに?」
「二人が歩いているのを見かけて、、、千夏が心配だって言うから、つけてきたんだよ、、、」
「クルミ!」
千夏はクルミの袖を引っ張った。
「本当のことじゃん、、、でも、スゴイね、あの子、、、見かけも言うこともエロいっていうか、、、ユウト君を夢中にさせる自信があるか、、、まあ、わたしも負けてないけどさ、、、」
「はあ、、、クルミさんが?」
「あっ、バカにしてるな、、、わたしだって、脱いだらスゴイんだよ、、、千夏ほどじゃないけどさ、、、」
「クルミ!」
再び千夏がクルミをたしなめる。
今度は顔を赤くして。
そんなの知っている、、、
千夏の着痩せする豊満な乳房、しかも最高に美乳だ、、、
体が熱くなる。
「そうですよ、、、やめて下さい、、」
「フフッ、想像してるな、、、若者よ、、、わたし、これでもモテるんだよ、、、」
クルミはどこから見ても正統派の美形だ。
「そんなこと知ってますよ、、、でもクルミさんは俺のお姉さんみたいなものだから、、、」
「ほう、、、嬉しいやら、寂しいやらだね、、、複雑な気分かな、、、それで千夏のことはどうなの?わたしと同じお姉さんって感じ?」
そんなの決まってる。
でも口には出来ない、、、
ユウトは聞こえない振りをして、二人と生徒会室へと向かった。
その日の会議は長引き遅くなったため、ユウトはクルミと千夏を送ることになった。
クルミのご指名には逆らえない。
先にクルミを送り、千夏と二人きりになった。
クルミとバカ話をしてる時は良かったが、やはりぎこちない雰囲気になってしまっていた。
これじゃいけない、、、
気持ちをちゃんと伝えなければ、、、
これはある意味、待ちにまったチャンスなのだ、、、
それなのに千夏は躊躇してしまう。
やはり何もかも壊れてしまうのが怖い、、、
あっという間に玄関先に着いてしまった。
「じゃあ、、、」
それだけ言って行こうとするユウトの袖を慌ててつかむ。
「送ってくれて、ありがとう、、、ユウト君、、、わたしね、、、」
顔が熱くなる、、、
上目遣いにユウトを見る。
大好き、、、その言葉が出てこない、、、
キレイだな、、、ちくしょう、、、どうしてこんなにカワイイんだよ、、、
千夏は何を言おうとしているんだ?
聞くのが怖い、、、
彼に誤解されたく無いから、もう送ったりしないでね、、、
イヤだ、、、そんなの、、、
ユウトは思わず、千夏の頬に手をやり、顔を寄せていく。
えっ、なに?キスされるの?
そんな、、、でも、嬉しい、、、キスされたい、、、
キスのあと、言えばいい、、、
好きだって、、、
ユウトのことが大好きだって、、、
千夏は瞳を閉じた、、、
唇が触れたとき電気が走った。
「あっ!」
その瞬間、思わず唇を離してしまう。
それを拒否だとユウトは受け取ってしまったようだった。
「ゴメン、俺、、、いきなりなんて、ゴメンなさい、、、」
ユウトは踵を返して駆け出していた。
「待って、ユウト君、、違う、、、」
このままじゃ又誤解される。
あっという間に遠ざかっていくユウトを追おうとしたとき、母が玄関から出て来て心配そうに声をかけてきた。
「どうしたの千夏?」
もう追いつけない、、、
「何でもない、、、」
千夏は涙をこらえて立ち尽くしていた。
部屋に戻って、電話をしてみる。
出てくれない。
メールもだめ、、、
きっと読んでもくれていない、、、
わたしが悪い、、、
ずっとユウトの体をつかんでいれば良かった。
ユウトはわたしに拒絶されたと思っている。
このままじゃ、、、
もう涙をこらえることが出来ない、、、
千夏は泣いていた。
つづく
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