「それは、、、本気じゃなかったの、、、お願い、許して、、、本当に好きなのはユウトだけ、、、もう二度と裏切ったりしない、、、ユウトのしたいこと何でもしてあげる、、、セックスだってユウトが望むなら何度でも、、、」
「お前はそうやって、アイツの望むことを何でもさせていたんだな、、、もう遅すぎる、、、全部お終いだ、、、」
「そんなこと、言わないで、、、わたし、ナマではしてないから、、、いつも絶対にゴムしてもらっていたから、、、ユウトはしなくていいよ、、、ね、、ナオキとは直にはつながって無いよ、、、ユウトが初めてだから、、、本当のバージン、ユウトにあげる、、、だから、お願い、、、」
馬鹿げた話だ。
そんなことを認めるならゴムをしていたら、浮気じゃないことになる。
お前たちは合意の上で、キスをして唾液を交換し、互いの性器を舐め、セックスをして快楽を貪りあった。
バレなければその関係は間違いなく続けられていた。
そんな都合の良いことを考えつく自分の身勝手さに気付きもしないカナコが理解出来ない。
「もう話しても無駄だ、、、出て行ってくれ、、、」
カナコの頬に涙が伝っていた。
「わたしは諦めないから、、、ユウトを一番愛しているのはわたしだから、、、ずっと待っているから、、、」
見つめながらそう言うとカナコは部屋を出ていった。
こいつはどんなアタマをしているんだ?
何を考えているのかまるで分からない。
自分のしでかしたことを本当に理解しているのだろうか?
そんなとき、今度は後ろのドアが開いた。
会議室のドアだった。
そこには生徒会長、一年先輩の飛澤千夏が顔を覗かせていた。
「先輩、、、居たんですか?」
まるで気がつかなかった。
「うん、、、ちょっと用事があってな、、、」
千夏は学業ダントツの才女で、校内一の美女と誰もが認める存在だった。
家も裕福で佇まいも上品そのもの。
165とカナコと同じ身長で艶やかな黒髪を背中まで伸ばし、大人びた雰囲気と色気を漂わせた女生徒だった。
運動神経も抜群で大らかで生真面目な性格、浮いた噂も何一つ無く、学校全体が信者だと言っても過言ではないほど、みんなに慕われていた。
それでいて、それを鼻にかけることなど一切無く、ユウトは憧れと共に先輩として信頼を寄せていた。
「こんなことになっていたんだ?」
「先輩、もしかして、、聞いて居たんですか?」
「別に聞くつもりは無かったんだよ、、、でも、声も大きかったし、、、話が話だけにね、、、」
「あーあ、やっぱり聞いていたんじゃないですか、、、居るなら居ると言って下さいよ、、、」
「しょうが無いだろう?あんな雰囲気で、、、でもこの頃、ユウト君の様子がおかしかった理由が分かったよ、、、大変なことがあったんだね、、、」
「俺、やっぱりヘンでしたか?」
「うん、、、かなりね、、、わたし、心配していたんだよ、、、」
「すいませんでした、、、でももう大丈夫です、、、吹っ切れましたから、、、」
「そんなふうには全然見えないけど、、、でも、、、あの二人、スゴイね、、、自分のことばかりで、周りが見えていないというか、、、よくユウト君、今まであんなのと、、、あっ、ゴメン、、、無神経だったね、、、わたし、、、」
「いいんです、、、その通りだと思うし、、、でも前は二人とも、あんなじゃ無かったんです、、、
俺の見る目が無かったのかも知れないけど、、、」
「うーん、そうだ、ユウト君の気が晴れるように、わたしが話を聞いてあげるよ、、、」
「そんな、、、いいですよ、、、自分のことで会長に迷惑かけたくないし、、、」
「そんなこと気にしないで、、、上司が部下の悩みを聞くのは当たり前のことでしょう?」
「上司って、、、部下って、何ですか?」
「わたしは会長、ユウト君は副会長、、、分かるよね?」
「そうですけど、、、そうか、、、部下なのか、、、」
嬉しいような、悲しいような、、、
「細かいことは気にしない、、、今日はとにかく一緒に帰って話を聞かしてもらうからね、、、」
「会長、、、ひょっとして、、、興味本位じゃないですよね?」
「違うに決まっているだろう、、、本当にユウト君が心配なだけ、、、絶対に秘密にするし、安心して欲しい、、、少しだけ興味はあるけど、、、」
「やっぱり、そうなんだ、、、」
「ウソ、ウソだよ、、、ユウト君は本当に普段頑張ってくれているから、先輩として力になってあげたいんだ、、、何も出来ないかも知れないけど、、、」
真摯な目で見つめられると何も言えなくなる。
会長のこういった人の良いところはユウトも普段から気に入っている。
だから周りの人は先輩に惹きつけられる。
もちろん、その美しい外見もあるけれど。
ユウトは千夏の厚意に甘えることにした。
正直言って、誰かに話を聞いてもらいたい気持ちはあったから。
千夏はまさに適役かも知れない。
つづく
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