ヤツらはどんな気持ちでみんなと居たのだろう?
恋人と友人を裏切り、心の中でみんなを嘲りながら優越感に浸っていたのか?
みんなと集まる度に、皆を出し抜いて二人で密会を重ね、情事に耽っていたのか?
考えただけで胸糞悪くなる。
カナコから持ちかけられた、手作りのお弁当。
それを自分だけに与えられた特権だと喜んで食べていた。
秘かにナオキにも作っていたのだろうか?
そんな気配は感じなかったが、気が付かなかっただけかも知れない。
何しろ、俺は彼女の処女を奪われ、浮気を続けていることにも気付かない鈍感な男だったのだから、、、
そんなとき突然ドアが開いた。
そこには、、、
今、一番顔を見たくない男、ナオキが立っていた。
175程の身長で茶パツに染めた伸ばした髪。
ガッチリした体型でそれなりに整った顔立ちをして、チャラい面もあったが、まさかこんなことをするとは思ってもみなかった。
「ここに居たのか、、、」
ドアを閉め部屋に入るなり、ナオキはその場に土下座をした。
「ユウト、、、本当にすまなかった、、、」
「お前、、、そんなことで、俺が分かったと、許すと思っているのか?」
俺は冷え切った目でヤツを見つめた。
「ごめん、、、そんな雰囲気になって、、、俺の方から誘った、、、全部、俺が悪い、、、」
そんな雰囲気になったじゃなくて、そんな雰囲気にしたんだろう?
そして、、、カナコもそれを、、、受け入れた、、、
苦々しいおもいが込み上げる。
「お前たちは俺だけじゃない、、、みんなを裏切った、、、マユのこと考えなかったのか?お前はマユをどうするつもりだったんだ?」
「愛想を尽かされたよ、、、もう顔も見たくないとさ、、、仕方ないよな、、、マユには悪いと思ってる、、、」
「それだけか?軽いな、、、マユが可哀想過ぎる、、、お前のシタことは本当にクズだ、、、」
その言葉にナオキは顔を上げ、俺を睨むようにして口を開いた。
「でもな、、、アイツには他に好きなヤツがいる、、、」
「そんなはずは無い、、、」
「気付かなかったのか?お前だよ、、、ずっと前から、、、中学の頃から、マユはお前のことが好きだった、、、今でもな、、、」
「戯言を言うな、、、くだらない妄想だ、、、お前はどうかしている、、、マユは俺の親友だ、、、大切な親友、それだけだ、、、」
「分かっていないのはお前の方だ、、、お前がそうだから、アイツは俺になびいた、、、アイツはお前に惚れている、、、俺には分かるんだ、、、」
「くだらない、、、お前、その勝手な思い込みで、まさかカナコに手を出したのか?」
「それは違う、、、俺は前からカナコが好きだった、、、でも、お前と付き合い始めたから、、、諦めようと、マユと付き合って、、、でも、、、諦めきれなかった、、、」
「お前の言ってること、、、最低だぞ、、、マユをバカにしてる、、、お前は自分のことしか考えていない、、、そんな男だったんだな、、、」
「何とでも言ってくれ、、、でも、マユだって、きっとお前のこと吹っ切るために俺と付き合ったんだと思う、、、俺は、やっぱりカナコが好きだ、、、これからもカナコと付き合うつもりだ、、、」
「好きにすればいい、、、カナコはもう俺と何の関係も無い、、、後のことは二人で決めることだ、、、俺は知らない、、、」
「本当にすまなかったと思ってる、、、でも、カナコを幸せにする自信はある、、、カナコ、、、マユと違って、俺の腕の中で凄く乱れてくれたし、、、俺たち相性もいいと思う、、、俺に凄く甘えてくれるし、好きだと何度も言ってくれた、、、きっと俺たちうまくいくと思う、、、」
こいつはこんなに無神経な男だったのか、、、
「それと俺が言えた義理じゃ無いけど、マユのこと、、、頼む、、、俺はお前のこと、信じてる、、、」
殴ってやろうか、こいつ、、、
「俺は、お前のこと信じてないよ、、、何一つな、、、」
代わりに吐き捨てるようにそう言った。
余りにも独りよがりな言い草に込み上げる怒りを押さえ込む。
こんなヤツを殴っても自分が虚しくなるだけだ。
所詮はこんな男だったのだ。
ナオキはすっきりとした表情で出ていった。
こんなヤツを親友だと思っていた自分が愚かだっただけだ。
あんなに周りのことを考えられ無い自分勝手な男が、女を幸せに出来るはずが無い。
でも、そんな男を選んだ女もいる、、、
しばらくすると、今度はドアがノックされた。
入ってきたのは、そんな男を選んだ女だった。
恋人だったカナコだった。
こいつら示しでも合わせているのか?
そんな考えがよぎる。
仲がいいことだな、、、
更に気分が滅入る。
カナコはまっ青な顔色をしていた。
「ごめんなさい、、、わたし、、、本当に酷いことをしてた、、、」
もう信じられない女の言葉など、何一つ聞きたくなかった。
「でも、、、ユウトのことを愛しているの、、、わたし、ユウトのこと、、、誰にも取られたくない、、、」
「俺もそうだったよ、、、お前が浮気する前までは、、、」
「ウゥッ、、、ゴメンなさい、、、わたし、どうかよろしくた、、、ナオキとシて、、、すぐにユウトに打ちあけて、、、ユウトに抱かれようと思ったけど、、、知られるのが怖くなって、出来なかった、、、ユウトに悪いという気持ちから逃げたくて、ズルズルと関係を続けてしまって、、、凄く後悔してる、、、」
「そうか、、、ナオキに何もかも取られていたんだな、、、本当は心まで奪われていたんじゃないのか?」
「違うよ、、、あんな男、、、マユとユウトが中学の時からデキてるなんてウソをついて、、、わたし、イヤ、、、ユウトが他の女とキスしたり、セックスするの、、、絶対にイヤ、、、」
ナオキのヤツ、、、本物のクズだ、、、
そして、この女も、、、
そんなこと言ってるお前が他の男とキスやセックスをしまくっていたじゃないか、、、
「ナオキはお前と付き合うと言ってたぞ、、、カナコはもうナオキに夢中だって、、、セックスしながら何度も好きだと言って凄く乱れてくれるって、、、自慢してたぞ、、、」
つづく
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