タカヒロとカナはカフェにいた。
「ゴメンね、、、カズヤがヘンなこと言い出して、、、」
「ああ、、たしかにな、、、」
「ノリコのこと、、気になる?」
「それは、、、いいや、、、」
「ふーん、、、わたしは嬉しいよ、、、ドキドキしてる、、、」
「えっ、、、どうして?」
「もう、、、だって、仮にもタカヒロとデートしてるから、、、」
「そ、そうか?」
改めて目の前のカナを見つめる。
やはり美しいと思う。
整った顔立ちがメイクにマッチして、今日は一段と大人びた雰囲気を醸し出している。
胸元を持ち上げるシルエットが意外な量感を感じさせ、先ほどまで確かに止められていたはずのボタンが外され胸の谷間を覗かせていた。
こんなにカナは胸があったんだ、、、
俺って失礼なこと考えてる、、、
そんな気持ちをかき消すようにカナに声をかける。
「今日のカナ、、、すごくキレイだな、、、」
「本当?すごく嬉しい、、、」
胸に注がれたさっきの視線にも気付いていた。
オンナとしてみられることがすごく嬉しい。
ドキドキが更に高まっていく。
こんなチャンスは滅多に来ない。
今日カナは積極的になることを前から決めて
いた。
そのため精一杯、下着からオシャレをしてきたつもりだ。
「ねえ、タカヒロ、、、二人で秘密を作らない?」
「秘密って?」
「わたし、タカヒロと二人きりになりたい、、、タカヒロになら、、、なにをされてもいい、、、」
カナが熱のこもった瞳で見つめてくる。
「冗談、、、だよな?」
「違うよ、、、本気だよ、、、」
「だって、俺たちには、、、」
「そうだね、、、分かってる、、、でも一度だけでもいい、、、タカヒロとセックスしたい、、、」
「何か、、あったのか?」
「疲れたの、、、わたし、間違ってた、、、カズヤのことも、、、だから、これからは自分に正直になると決めたの、、、タカヒロのことが好き、、、誰よりも好き、、、」
あの感情をあまり表に出さないカナが真摯に気持ちをぶつけてくれている。
タカヒロは逃げる訳にはいかなかった。
「分かった、、、俺も正直に言う、、、俺もカナが好きだ、、、女としても、、、だから本当はカナを抱きたい、、、」
カナの表情が歓びを帯びる。
「それなら、、、」
「でも、それは出来ない、、、カナのこと好きだから、、、それにノリコを裏切れない、、、やっぱりノリコのこと、、、好きなんだ、、、」
「そうだよね、、、きっとそう言われると思ってた、、、」
「ゴメン、、、今日のことは忘れる、、、でもカナのこと、、、いつも見守ってる、、、これからもずっと、、、」
「ありがとう、、、わたし、タカヒロのこと好きでよかった、、、今まで通り、仲良くしてね、、、」
「うん、、もちろん、、、」
「でも、、、一度だけ、、、タカヒロとキスしたい、、、ものすごく熱烈で、すごく長いやつ、、、」
両手で頬を隠しながらタカヒロを見つめ、消え入りそうな声でカナが言った。
顔がまっ赤になっているのを見られたく無いのだろう。
「残念だけど、ここでは出来ないな、、、いつかムードのある場所で、、、」
「約束だよ、、、」
「約束だ、、、」
タカヒロはカナの涙をそっと拭った。
つづく
※元投稿はこちら >>