浮いた存在になっていたノリコだったが、カナだけは違っていた。
カズヤを仲間に引き入れた負い目を感じているようだった。
しかし、以前のように戻った訳では無く、ただそれとない会話を交わす。
ただそれだけでもノリコは救われた気持ちになっていた。
そんなカナから夜電話があった。
カナから電話を受けるのはあの件以来初めてだ。
カナの声は少し上擦っていて、嬉しさを隠しきれない様子だった。
「ねえ聞いて、、、わたし、今日、、初めてイッタの、、、」
「えっ、、、それって、、、」
突然切り出された話の内容に戸惑いを感じる。
「彼の腕の中で、、、訳の分からないぐらい気持ち良くなって、、、あんなの初めてだった、、、」
相手は誰?
すぐにそれが気になった。
カズヤ?
まさか、そんなはずはない、、、
別れたし、今では心から嫌っているはずだ。
まさか、、、聞くのが怖い、、、
「ノリコは知っているでしょう?セックスって、、、こんなに気持ちいいんだね?わたし、、、本当のオンナになれた、、、本当に好きな人とスルのって、全然違う、、、それに彼、、スゴかった、、、何度も続けてシテ、イッパイ、イカされたんだよ、、、アイツなんか比べものにならないぐらい素敵だった、、、わたし、彼のこと、、、もっと好きになっちゃった、、、」
ノロケ話を素直に受け入れることが出来ない。
ノリコは抑えきれずに口にした。
「相手は、、、誰なの?」
「それは、、、言えない、、、二人だけの秘密なの、、、」
思わせぶりに応えるカナの幸せそうな声がしゃくに触る。
「誰かに聞いて欲しかったんだ、、、ごめんね、突然、、、じゃあね、ノリコ、、、」
言いたいことだけを告げられ電話は切られていた。
目の前が真っ暗になる。
相手はタカヒロだ、、、
あのカナがそんな簡単に他の男を好きになるはずが無い。
タカヒロの初めてを、、、カナに奪われてしまった、、、
きっとイッパイ、キスをして、、、カナがタカヒロのをフェラチオして、、、好きだと二人で囁きあって、、、
悔しかった。
すごく辛くて、胸が苦しい、、、
タカヒロが自分とカズヤのことを知ったとき、どんなに辛い思いをしたのか、初めて分かった。
その上、あの時はわたしの浮気だった、、、
傷の深さは今のわたしどころではないはずだ、、、
自分の罪深さを改めて思い知る。
わたしは最低のオンナだ、、、
嗚咽が漏れ、涙が溢れる。
そして、初めてのセックスでエリにのめり込み、激しく交わる二人の姿が頭に浮かぶ。
初めての絶頂を叫び、エリがタカヒロにしがみつくその姿、、、
絶対にイヤだ、、、
あの時、自分のカラダが汚されていたことに気づく。
イヤだ、、、
ノリコはその夜、一睡も出来なかった。
つづく
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