暴力団も現在は経済ヤクザで秋元組は任侠ヤクザだけでは無い。裏で政治家や企業の資金源に成っている。大組織だったのである。
組のフロント会社は国内に沢山あり、今日は秋元組の系列のホテルを貸し切り、僕達の結婚式が行われていた。
組長が
「石原君ありがとう。正直私は娘の晴れ姿を見れるなんて思っていなかった。
君は仕事も優秀らしいね。どうだい?将来組を継がないか?」
奥様が、
「あなた。石原さん困った顔してるわよ。オホホ。ヤンチャな娘でごめんなさいね。でも私も嬉しい。家族に息子が出来たなんて。石原のお母様が食べちゃたの判るわ。」
「ちょっとママ。下品過ぎる。」
と、敦子(嫁)が言ったら全員大爆笑した。
両家6人だけの淋しい結婚式だが和気あいあいだった。
結婚の報告に行った時、費用は全額負担するから、大きな所でやると組長が大喜びで言った時、彼女が
「パパそんなことしたら、私会社にヤクザの娘とバレてクビになっちゃうよ。」
「敦子。大丈夫よ。あなたには黙っていたけど、あの会社は組のフロント会社なの。大学は身辺調査しないけど、企業はする事があるからママが心配でここを受けさせたのよ。」
僕が、
「つまり、社員は皆組員さんなんですか?」
組長は笑いながら、
「大丈夫だよ。拓哉(僕)君。表向きは普通の会社だからヤクザは居ないよ。大株主が秋元組なのは、社長クラスの幹部しか知らないトップシークレットだからね。」
僕は、
「お義父さん、ありがとうございます。失礼を承知で言います。でもヤクザだとバレなくても彼女はコネ入社だと判ってしまいます。今迄孤独な人生を送ってきてやっとこの会社で同僚と楽しく仕事してる。人間の嫉妬は恐ろしい物です。絶対また孤独に成りますよ。」
奥様が泣きながら、
「拓哉さん。あなたは本当に娘の事を第一に考えてくれる素晴らしい人。あなた!少しは見習ったら。」
「感動した。今から組を拓哉君に譲ろう。」
妻が、
「パパ全然判って無い。バカ!」
全然大爆笑して、家族だけの結婚式にしたのである。
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