学校の帰り道、前をソウスケが歩いている。
後ろを歩くミスズのことなど気づきもせずに、、、
こんなにそばにいるのに、遠く感じる。
もちろん声をかけることなど出来ない。
本当に辛い、、、
わたしはなんて愚かで最低の女なんだろう、、、
あんなに幸せだったのに、、、
一番大切なものが、この腕の中に確かにあったのに、、、
それだけをずっと大事に抱きしめているだけでよかったのに、、、
わたしはそれが出来なかった、、、
そんなミスズを追い越して、女子生徒がソウスケに並びかけていった。
「ソウスケくん、待ってよ、、、一緒に帰ろ?」
「いいけど、、、方向、違うんじゃね?」
「いいの、、、一緒にいられるなら、、、遠回りしたって、、、」
南川ユイナだった。
同じ学年で、以前はマユと仲がよかった娘だ。
マユと同じく背が高く、大人びた雰囲気だが、メイクや髪型も派手めでイメージは違う。
それでもかなりの美形で、なんといっても制服の上からでも分かるグラマーな体型が男子の目を惹きつける。
当然のように男にはかなりの人気があり、恋愛沙汰の噂が絶えない。
高校生ばなれした色気を漂わせ、周りの女子を子供扱いするような態度を取る女生徒だった。
ミスズはそんなユイナと気が合わず、関わりを持つのを避けていた。
そのユイナが以前はわたしの居場所だったソウスケの隣にいる。
そして歩きながら親しげに話をしている。
「ねえ、、、ソウスケくん、、考えてくれた?」
「何を?」
「ああ、ひどい、、、わたし、この前、、、告ったじゃん?」
「あれ、本気だったのか?俺、冗談かと思ってた、、、」
「本当にひどいー、、、ソウスケくんのイジワル、、、」
甘えるようにまとわりつき、やたらにソウスケの体にタッチを繰り返す。
声も大きめで明らかに後ろを歩くミスズを意識している。
ソウスケはいまだにミスズには気づいていないようだ。
「わたし、こう見えて、、自分から告ったりしないんだよ、、、ソウスケくんは特別、、、この前も言ったけど、、、ずっと好きだったし、、それにわたし、、、付き合ったら一途だから、、、マユやミスズみたいに他の男にフラフラしたりしないから、、、」
やっぱり、みんなに知られているんだ、、、
ソウスケがそんなことを広めたりするわけがないから、みんなが勝手にどうせ原因はミスズだと決めつけているのだろうと思う。
確かににそれは事実だが、それを無神経にソウスケへと口にするユイナをやはり好きにはなれない。
つづく
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