立ち尽くすマユの横をクラスメイトの阿川ミスズが通り抜ける。
「酷い女、、、」
すれ違いざまにそう言われ、我に返る。
ミスズはソウスケの小学校からの幼馴染みだ。
ソウスケに追いついたミスズが声をかけ、二人は並んで行ってしまった。
マズいことになっている。
どうしてか分からないが、ヤマトのことをみんなに知られている、、、
間違いなく、このままでは大変なことになってしまう。
リュックを取りに教室へ戻る。
いそがないと、、、
とにかくちゃんとソウスケと話をして、なんとかゴマかさないと、、、
「ひでえよな、、、彼氏の前で浮気相手とイチャつくなんて、、、どういう神経してるんだよ、、、」
「本当、、、最低だよね、、、、ソウスケくん、可哀想、、、」
「犬伏みたいな奴のどこがいいんだ?」
「そりゃ、アレだろう?エッチ、しまくりみたいな、、、」
「いやだ、やめてよ、、、気持ち悪い、、、」
これ見よがしの言葉が突き刺さる。
やっぱり、みんな知っている、、、
どうして、、、
でも今はそれどころではない。
リュックを持って、すぐにソウスケを追いかけなくちゃ、、、
話をしないと、取り返しのつかないことになってしまう。
絶対にいやだ、、、ソウスケを失いたくない、、、
涙がこぼれそうになる。
教室のドアの横に、普段から仲良くしているユイナが立っていた。
「マユ、、、もう無理だよ、、、、諦めたほうがいい、、、」
「何が、、、どうして?」
「写メ送っておくから、、、もう、みんな知ってる、、、」
わけがわからないが、とにかく頷きソウスケを追う。
しかし、ソウスケにあうことは出来なかった。
電話もメールも何もかも繋がらない。
明らかにソウスケに拒絶されている。
ベンチに座り込み、ユイナの言っていた写メを見る。
これは、、、そんな、、、
それは昨日、ヤマトとホテルに入るときの写真だった。
入口で抱き合いキスをしている二人がハッキリと写っていた。
そして、ホテルから出るときのジャれ合うように肩を抱かれ、微笑み合う二人を写っていた。
誰がこんなことを、、、
これをみんなが、、、ソウスケも見てしまったの?
もう無理だよ、、、
ユイナの言葉がアタマを過る。
わたし、本当にソウスケを失うの?
涙がボロボロとこぼれ落ちる。
わたしはバカだ、、、
二人の男に求められていると、いい気になって浮かれていた。
ソウスケさえいれば幸せだったのに、、、
一番大切な人を失おうとしている、、、
いや、もう失ったのかも知れない、、、
でも逢いたい、、、
ソウスケに謝りたい、、、
もう自分にはそれしか出来ない、、、
つづく
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