ほとんど眠ることもできず、マユは学校へと向かっていた。
大丈夫、一昨日あんなに愛し合ったんだから、、、
何も心配することは無い、、、
ソウスケは絶対に気付いてなどいない、、、
ソウスケに逢えば、ちょっと話せば、、、こんな不安など吹き飛んでしまうはずだ。
残念だがヤマトのことは、これから少しずつ距離をおいて、別れる方向にもっていけばいい、、、
学校も始まることだし、ヘンな噂でも立てられたらマズいことになる。
しばらくはソウスケ一筋に専念して、ほとぼりが冷めた頃合いを見て、ヤマトとの関係を復活させてもいい、、、
それで問題は無いはずだ、、、
でも、昨夜から何度も電話した履歴をまだソウスケは見ていないのだろうか?
いや見ていたら連絡があるはずだ、、、
それが気になる、、、
きっと気付いていないだけだ、マユはそう自分を納得させた。
教室にソウスケはいなかった。
リュックはあるから、もう来ていることは間違いない。
クラス委員ということもあり始業式の手伝いにかり出されているのかも知れない。
話が出来ないまま、気が気では無い時間が過ぎていった。
結局、ソウスケが戻らないまま始業式は始まった。
そして始業式が終わってもソウスケは戻ってこなかった。
ホームルームを終え、大半の生徒が担任のチエ先生と挨拶を交わし帰っていく。
チエ先生は34になるが、結婚していて子供もいる。
美人の先生で20代に見える程若々しい容姿をしていて、生徒思いでみんなに慕われていた。
苗字の飛澤では無く、チエ先生とみんなが呼ぶところにそれがよく表れていた。
そのチエ先生がしきりにマユの様子を伺うようにしているのが気になった。
しかし、結局は何も言わずに教室を出ていった。
そういえば今日は何となくクラスの雰囲気がヘンだった。
ソウスケのことで気が取られていたせいか、余り気にはならなかったが、よくよく考えてみると、自分に対する態度が普段とは違っているような気がした。
ほとんど声をかけられること無く今まできているような気がする。
でも今はそんなことよりも、とにかくソウスケだ、、、
早く逢いたい、、、話をして、甘えたい、、、
そんなとき、ソウスケがやっと戻ってきた。
「ソウスケ、待ってたよ、、、手伝いだったの?
大変だったね、、、」
ソウスケに駆け寄り、優しく声をかける。
「、、、、、、」
だがソウスケは顔色が悪く、返事もしなかった。
「大丈夫?具合でも悪いの?」
心配になったマユがソウスケの額に手を伸ばそうとしたとき、声をかけてきた男がいた。
「よう、、、お二人さん、、、」
ヤマトだった。
まるで茶化すような口調だった。
「相変わらず、、、イチャイチャしてるな、、、ヘヘッ、、、」
よりによって、こんなときに、、、
やめて欲しいと思ったが、ソウスケに何かを覚られることが怖くて、普段通りにやり過ごすことにする。
「いいでしょう?わたし達、恋人同士だし、、、これからデートなんだから、ジャマしないでくれる?」
おどけたように明るく言う。
「へえー、、、今日は、、、大宮とデートなんだ、、、ふーん、、、」
トゲのある言い方だった。
昨日は俺とシタのに、、、
ヤマトが嫉妬しているのを感じた。
やめてよ、こんなときにと思いながら、子供じみた態度を取るヤマトに、少しだけ可愛らしさを感じてしまう。
「そうだよ、、、なんか文句ある?」
そんな自分をごまかすように、更におどけてそう言った。
「うーん、文句は無いけど、、、、なあ、俺も入れて、三人でイチャイチャしない?」
三人でイチャイチャ、、、
その言葉が、今目の前にいる二人の男と、それぞれに肉体関係をもっている自分を、あらためて生々しく意識させる。
一昨日はソウスケと、、、昨日はヤマトと、、、そして今日は、、、
躰が熱い、、、躰の中の女が疼く、、、
「なっ、俺も混ぜてくれよ、、、一緒にデートしようぜ、、、」
「ダメですよーだ、、、」
「お願い、絶対に二人のジャマはしないから、、、」
拝むようにしてヤマトが頼み込んでくる。
絶対ジャマするくせに、、、
少しマズいと思いながらも、恋人のソウスケの前で浮気相手のヤマトとじゃれることに、スリルを感じていた。
恋人を手玉に取っている気分になりワクワクすらしてしまっていた。
「ふーん、、、どうしようかなー?」
「なあ、三人で映画なんてどうよ?いいんじゃね?」
三人で映画館に並んで座る、、、
暗くなって真ん中のわたしが二人の男から手を握られる、、、
そう考えただけで、ドキドキする、、、
ヤマトのことだ、きっともっとエッチなことをしてくるに違いない、、、
胸を触ったり、アソコを触ったり、、、ソウスケに気付かれないようにキスしたり、、、
想像するだけで濡れてくる。
「なあ、いいだろう?三人でイこうぜ、、、」
「それ、、、いいかも、、、どうする、ソウスケ?」
ソウスケはいきなりリュックを持って立ち上がっていた。
「いい加減にしろ!」
珍しく声を荒げたソウスケが教室を出て行った。
えっ、どうしたの?
いつの間にか、教室に残っていたみんなが静まりかえってマユ達を見つめていた。
「ソウスケ、待って!」
わたし、やりすぎた、、、マズい、、、慌ててソウスケを追う。
ソウスケの腕につかまり、甘えるように機嫌をとろうとする。
「ソウスケ、焼いてるの?あんなの冗談にきまっているでしょう、、、ゴメンね、、、二人でイッパイ仲良くしよう、、、」
そう、今日は思いきりソウスケに甘えよう
、、、たくさん、たくさんエッチなわたしを見せてあげよう、、、
生でさせてあげて、中に出させてあげる、、、
きっとヤマトみたいにソウスケも歓んでくれ
る、、、
邪険にソウスケがマユの腕を振り払った。
「エッ?」
思わずマユはよろけてしまう。
「俺にかまうな、、、、信じていたのに、、、、、もうお終いだ、、、」
突き放すような冷たい目をしていた。
そんなソウスケを初めて見た。
まさか、、、バレてしまったの、、、、
つづく
※元投稿はこちら >>