3日目
ユキは休日という事もあって少し遅めに起きた。
スマホを開くと相田からLINEが2通入っていた。
「昨日はありがとう。その後大丈夫だったかな?また何かあったら言ってね!」
「あ、伝えそびれた!お金は返さなくて全然大丈夫だから気にしないでね!」
(恩着せがましいな、、顔もブサイクだけどこーゆー所がモテないんだよ。)
ユキは既読だけして返信せずに済ませた。仕事で会った時に重ねてお礼すれば良いだろうと考えていた。
夕方、ユキの高校の時の友人から電話があった。
「ユキー!元気してるー?」
騒がしい声の主はミドリという名で、ユキとミドリは高校の時は同じ女子友グループでいつも行動をしていた。
だから本来は騒がしい人間が苦手なユキだったが、久しぶに聞いたユキの元気な声に嬉しく感じていた。
「ミドリは元気そーだねぇー。」
お互い社会人になり多少疎遠になってはいたが、定期的に連絡をとっていた。それでも連絡を取り会うのは数ヶ月ぶりだったので、2人は近況を交互に話て談笑していた。
ユキが職場のブ男に3万5千円貰った話をすると、ミドリは笑い声をあげながら、ユキに聞いた。
「ユキは相変わらずえぐいねー!そんなんパパ活じゃん!」
「ばーか!そんなパパ活みたいなくだらない事と一緒にしないでよー笑。むしろパパ活だったらもっと金貰わないと割に合わないわ。笑」
「あー、、まあ、ユキは可愛いしモテるもんねー。笑
そのうち恨まれて刺されちゃうんじゃないか心配だよー笑」
ここで1つトーンを落として追加でミドリは質問した。
「そういえば、、、例のストーカー男どうしたの?」
ユキは半年ほど前にストーカー被害に遭っていた。いや、ストーカー被害に仕立てたと言ってもいい。
相田の時と同様に、SNSで知り合った男性に食事を奢ってもらってを繰り返していたユキは、その中の1人であるサガミと名乗る男にしつこく関係を迫られていた。
サガミは既婚者ではあったが、相田同様にユキの事が好きだった。ユキはその心を利用して「後で返す」と言い、ひと月で総額45万円程をサガミから貰っていた。
サガミは、ユキの嘘の身の上話に同情し、返すという言葉を信じてお金を貸していたが、ちょっとした事がきっかけで嘘がバレてしまい、ユキにお金を返すように迫った。
しかし、ユキは嘘がバレても冷静だった。サガミの反撃に対して、初手で警察に通報するという選択をした。
ユキは頭がキレた。
サガミが既婚者である事を理由に、ユキはお互いに連絡の内容は定期的に消すようにしていた。
だから、お金の貸し借りの内容は残っていなかった。
ただ、、ユキは貸し借りの所だけ削除し、「付き合って欲しい」とか「あって欲しい」と言う内容だけ残していたのだ。
警察は精査することも無く、その内容を元にサガミに連絡をとった。
もちろん、裁判沙汰になればやり取りの内容を復元できる。しかしユキはサガミが裁判沙汰にしないと確信していた。
ユキの予想通り、サガミは裁判沙汰にしなかった。いや、出来なかった。それどころでは無かったのだ。
ユキがストーカー被害で警察に届け出たあと、サガミの仕事先、家族にもその事が知れ渡ってしまった。
サガミが弁明をするも、既婚者であるにも関わらず、女性に関係を迫っていた事は事実であり、そればかりを責められ、周りに味方はいなかった。
結局サガミは心が折れてしまい、警察に二度とユキに連絡をしない事と近ずかないようにという警告を受けいれた。
ミドリは一連の話をユキから聞いていた。
「あー、、全く。その後はなんも音沙汰ないから大丈夫!安心してよね笑」
「いやいや、ユキの事は心配してないよ笑。その男がどうなったのか気になるのー!笑」
「さぁ?別にどうなっても良くねー?興味無いなあー笑」
ユキは罪悪感も無く、めんどくさい男だったなぁという認識しかなく、本当に興味がなかった。
だからその後サガミがどうなったかは分からない。
「こわ~笑。ねぇ、本当にそのうち刺されるよー?」
ミドリは半分冗談に、そして半分本気で言った。
「大丈夫大丈夫!笑。私が会ってきた男共全員クソ雑魚だから笑。いざとなったら即警察に通報するし笑」
「ユキー、、あんたホントに悪女だね。そのうち痛い目に合うよー。」
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