20日目(火曜日)
ユキは朝からイライラしていた。
それは収まることなく募る一方だった。
理由は相田にされた事を誰にも愚痴れず、しかも弱みを握られ、良いようにされた事に対して復讐出来ずにいるからだった。
ブサイクでゴミ以下と見下していた相田に痴態を見せ、形だけでも屈服させられたことは、ユキには耐え難い屈辱であり無かった事にしたい事だった。
しかし、どんなに忘れようとしても忘れられなかった。
職場に行けば上野や片山を見るだけで間接的に相田にされた事を思い出してしまうし、
何より相田から毎日、寝ていた時に取られた全裸の恥ずかしい写メが送られて来ていた。
相田の思うツボ、、というか計算されていた事だと思うが、
今まではイライラすれば片山や上野をスッキリするまで虐めれば良かった。
しかし、それをすれば思い出してしまうから出来ない。
結果的にユキの上野や片山への虐めは止められてしまったのだ。ここまでが全て相田の策であるなら、その術中にまんまとハマった事が何より腹ただしかった。
「大丈夫?なんか、、、怖い顔してるけど。」
食堂でサオリに聞かれた時、ユキは冷たくあしらって、席を立ってしまった。
仕事終わりに何度も何度も高校の時の友達であるミドリに電話をしようとスマホを握ったが、
相田にされた事をミドリや他の友人に知られるのは絶対に嫌だった。
だから何を話せば良いか分からなくなり、結局電話はせずにいた。
程なくして相田から電話があった。躊躇ったがユキは電話に出た。
「あ、ユキさん?仕事お疲れ様ー。写メの感想を返信で教えてねって言ったのに既読スルーはダメだよー。明日既読スルーしたらバラすからね?」
相田は電話越しにヘラヘラしている様子だった。
「、、、話それだけ?それなら切るね。」
ユキは冷たく無機質に言った。
「まさか?要件ならあるよ。今週の金曜日、××駅に19時集合ね?この前の続きするからさ。」
ユキは怒りが頂点に達して怒鳴った。
「はぁ!?ふざけんな!!!てめぇこの前罰ゲーム受けて終わっただろ!?約束やぶんのか!?」
「あー確かに、2日間だけって言ったよね。。
だから?」
「っ、、、!」
ユキは言葉を失った。
「あのさー、ユキさんホントに2日間だけだと思ったの??バカだねー笑笑」
ユキはハラワタが煮えくり返った。そして思いっきり目の前のテーブルを前蹴りした。
「まあ来るか来ないかは任せるよ。来なかったらユキさんの悪事も痴態も全部バラすだけだけどねー笑」
ユキは賭けにでた。
「勝手にしろ!もう許せない!!今から警察に行っておまえのこと全部話してくる!!」
相田は笑っていた。虚勢ではなく本気で笑っているのが伝わった。
「全然いいよ。この前話したか忘れたけど、、僕に何か万が一の事があれば、協力者がユキの全てを流す手筈になってるし。。。
僕はどうなっても構わないしねー笑」
「、、、別におまえを地獄につき落とせるなら全部バレたっていいわ。」
ユキは少し勢いが弱くなった。悪事はバレても気にしない。だが糞尿を撒き散らして屈服する姿は絶対に誰にも知られたくなかったから。
「ふーん?じゃあ今から流すね。」
「は?やれるもんならやってみなよ」
言葉とは裏腹にドキっとした。怖かった。
「ユキさんは今怒りで興奮してるみたいだから30分待つよ。その間に冷静になってよーく考えてみな?で、やっぱり流すのやめて欲しかったら、《相田様、ユキが間違ってました。どうか許してください。お願いします。》ってLINE送って。
そしたら流すのやめてあげるからさ笑」
「はぁ!おまえふざけ、、」
ユキが文句を言っている最中に通話は切れてしまった。ユキは悔しさのあまり、何度も何度もテーブルを足の裏で蹴った。
(ハッタリだ。、、、でももし本気だったら?)
ユキはハッタリだと思うようにしたが、やはり悩んだ。時間はドンドン過ぎていった。
相田にウソでも謝るLINEなどしたくなかった。
それでもやはり万が一が脳裏に焼き付いて離れない。
ユキは怒りで指が震えながら相田にLINEを送った。
「相田様、ユキが間違ってました。どうか許してください。お願いします。」
直ぐに既読が着いたそして、爆笑してるキャラクターのスタンプだけ送られてきた。
ユキは完全にオモチャにされていると思い、悔し涙を浮かべた。
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上野とサオリは毎晩愛し合っていた。
激しく熱く愛し合い、お互いヘロヘロになり、それでもお互い愛おしくて抱きしめあって寝た。
(そろそろぶつけてもいいかな。)
サオリは心の中で呟き、上野の腕の中で眠った。
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