理奈と幸弥の関係は終わっていた。
理奈が幸弥を求めるあまり、ところ構わず誘ってくる底しれない貪欲さに、さすがに辟易した幸弥は、地元の支社に転勤を希望し、理奈の前から去っていった。
大志との関係は続いていたが、胸の奥にぽっかりと穴が空いたような寂しさを感じていた。
その寂しさを見透かすように男が近づいてきた。
上司の秋葉部長だった。
50過ぎの妻子持ちで、170ほどの身長で中年太りの不細工な顔をした男だった。
頭髪は薄く脂ぎった、セクハラ、パワハラが得意で女好きの上司だった。
そのうえ下品で、理奈が嫌う典型的なタイプの男だった。
以前からしきりに理奈に誘いをかけてきていた。
あからさまにお前を抱きたいという嫌らしい目で、理奈の体を舐めるように見つめていた。
理奈は今までまるで相手にしていなかったが、その日は家族が留守ということもあり、幸弥を失った寂しさから、食事だけならと誘いに応じてしまっていた。
二人で話をしているうちに、思っていたほど嫌な男ではないなと考え直すようになっていた。
口は悪いが、嫌みなところはなく話は面白かった。
ただ、露骨な視線は相も変わらずだった。
特に唇と胸を理奈に気付かれることも気にせず、嫌らしい目つきでじっと見続けていた。
この男は今、頭の中でわたしを犯している。
わたしの唇を奪い、胸にむしゃぶりつき、部長のグロテスクな逸物を口にねじ込もうと考えている。
いつものような嫌悪感なかった。
それどころか体の奥に疼くような感覚があった。
つづく
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