とある日曜日、優奈は航平とドライブに出かけていた。
航平が免許を取ったということで優奈を誘ったのだ。
道夫が出張中で寂しいこともあって、優奈は誘いを受けることにした。
それに、また母の理奈の振る舞いに、怪しいものを感じるようになっていた。
優奈は女の勘で、母のまわりに男の影を感じていた。
わたし達家族を裏切っている母と一緒にいたくなかった。
ふと自分はどうなのかと考えることもある。
でもわたしは違う、道夫はわたし達二人を救ってくれたのだ。
道夫がいなかったら、わたしは生まれてこなかった。
そして道夫は血のつながりのないわたしを心から愛してくれた。
わたしも道夫を愛している、父親としても男としても。
優奈はすべてを知っていた。
そう、そしてこれは決して恩返しではない。
そんなことを道夫は求めていない。
そんなものを道夫は決して受け取らない。
道夫は女としてわたしを愛してくれている。
あの母の理奈よりも。
聞かなくてもわかる。
でも、わたしの中の女が、それを道夫に尋ねるようにそそのかすこともある。
しかしそれは出来ない、道夫を傷つけてしまうからだ。
報われることのない恋が優奈の胸を締め付けていた。
つづく
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