理奈は三年生になっていた。
真也との交際は続き、たまに道夫と顔を合わせるだけの関係に戻っていた。
道夫のほうで接触を避けているようで、理奈は寂しさを感じてしまう。
声だけでも、聞きたい。何度もそう思った。
真也から、道夫が時々、ぼーっとしていることが多くなったと聞き、わたしのことを考えてくれているのかな?と思いながらも、自信過剰だと自分を戒めてしまう。
拒まれるのが怖くて、連絡を取ることが出来ない。
そんな日々がつづくうちに事件が起こった。
理奈の親友に真田マリンという同級生がいる。
理奈と同じ位の背丈で、細くすらりとした体型で、母がアメリカ人でハーフの女の子だ。
学校一の美人で性格も良く、男子にはもちろん、女子にもすごく人気があった。
そんなマリンが恋をした。
相手は、三田村武史という体育教師だった。
25才の独身、185の長身で引き締まった体をしていた。
童顔だがかなりのイケメン、髪も体育教師にしては長めで、女子生徒や母親にとにかく人気があった。
またそのうちの何人かと関係を持ったという噂もあり、理奈はいい印象を持っていなかった。
そのうえ、体育の授業のときなど、理奈の体を爬虫類のような、いやらしい目でジッと見つめられて、気味が悪い。
理奈は三田村を嫌うようになっていた。
そんな男を親友のマリンが好きだと言い出したときは、理奈は必死になって止めた。
あの先生はよしたほうがいいと何度も言った。
ただ、どうして?と訊ねられても、答えることが出来ない。
すべて確証がないからだ。
いつの間にか、マリンは三田村に告白して、交際することになったと、喜びながら理奈に報告してきた。
先生と生徒の交際だから、みんなには秘密だと念を押されたとマリンは言った。
理奈は嫌な予感がした。
先生、生徒うんぬんは、理奈も現代っ子だから気にならないが、いくらマリンがとびきりの美人だからといって、あまりにも簡単に交際を始めることに不安を感じていた。
つづく
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