「女性社員には無視されていたんですけど、男性社員から相変わらずチヤホヤされていて…」
「飲み会とかよく誘われて行ってたんです」
「彼からも特に止められなかったので…」
「ある日の飲み会で、私を嫌う女性社員が私を残し次の店に行って、残された私は男性社員数人とカラオケに行ったんです…」
「そこで、その場の勢いでお酒いっぱい飲まされて…」
「一人で立てなくなるほど酔っちゃって…」
「そこで、みんなにレイプされたんです…」
「女性社員達もグルになってたみたいで…」
それを聞いた私は、胸が締め付けられた。
「その時、裸の写真いっぱい撮られていて…」
「その後もその写真で脅されて、一人一人に呼び出されて皆に何度も性処理に使われて…」
「セックスドールって呼ばれてました」
「しばらくして誰の子かわからない子を妊娠しちゃって…」
「それまで彼には言えずにずっと黙っていたんですけど、さすがにもう無理だと思って全てを打ち明けたんです」
「何でもっと早く言わなかったの!?って怒られたんですけど」
「一緒に警察行って被害届出してくれたり、示談交渉されるからと弁護士を手配してくれたり…」
「中絶する時も一緒についてきてくれたりしてたんですけど…」
「私を輪していた男性社員達は示談した数名以外、執行猶予付きの有罪で、全員懲戒処分でクビになって…」
「新聞にも載っちゃって、私のせいで会社が一時メチャクチャになっちゃって…」
「彼からはもう一緒にはいれない…と別れを告げられて…」
「全部私の行いが招いた事だから…と自分を責めました」
「私も会社に居られず、辞めて…しばらくは何もしないで家に閉じこもってたんですけど…」
「家に遊びに来た友達がこのメガネを忘れていって、自分でかけてみたら…」
「自分でも凄く似合わないなぁ…と思って」
「このメガネかけて髪を黒くしたら、誰にも見向きもされないだろう…と思ってやってみたんです…。」
「そしたら、本当に誰にも声を掛けられなくなって…」
「喋る事すら少なくなりました…」
俯き黙るカオル。
車は目的の場所に着いた。
「そっか…」と、カオルの頭を優しくポンポンと撫でる。
「外に出ようか」私がそう言うと、カオルは無言で頷きドアを開けた。
外は気持ちのいい風が吹き、雲の隙間からチラチラ夜景が見えていた。
「じゃぁそのメガネ、男除けのお札なんだね…」
そういうと
「そうですね…」と笑った。
「俺には、そんなお札効かないけどね」
と、カオルを抱きしめる。
するとカオルも私に抱き付き「これセクハラですよ」と私の胸に顔を押し付けた。
「篠崎さんもね…」
そして、辺りはまた霧に包まれた…。
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