(また夢か?)
私は自分の腿を抓った。
(痛っ)
「私、ずっと部長の事…素敵だな…って思ってました…」
「この前のリモート会議の時に、部長がそれとなく今日出社するって言ってたから私も来たんです」
「いつも同じ職場なのに、誰よりも遠くに見えていて…」
「ちょっとでも部長とお話し出来るチャンスがあればなぁ…って」
「だからパスワード知らないふりして部長の所に行ったんですけど…」
「その時は緊張して何も喋れませんでしたけどね…」
「部長が煙草吸う人でよかったです」
「こんなに一緒に居れると思わなかったから…すごく嬉しい…」
と、俯くカオル。
「篠崎さんにそんな事言ってもらえて俺も嬉しいよ。」
そういうと少し笑顔になり飲み物を一口飲んだ。
再び車を走らせる。
窓の外を見つめるカオル。
「霧で何も見えませんね…。」
「山だからね…」
しばらく無言の時間が過ぎた。
「部長…」
「ん?」
「さっきの話の続きなんですけど…」
「うん…」
「聞いても私の事、嫌いにならないでくださいね…。」
そう言い、また窓の外を見た。
つづく
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