哲男には何人も女友達がいる
食事やデートもちろんセックスも含めた女友達
典子もその中の1人だった
満男が打合せのために頻繁に会社に訪ねてくるようになり 二人の仲が近づいていった
「今度 しょ 食事にいきませんか?」
女慣れしていない満男はそう言うのが精一杯だった
クスっと笑い いいですよ 典子は答えた
一目惚れ 正確には二目惚れか
哲男の部屋であった時はなんとも思わなかったが 受付での姿を見た瞬間に満男はハートを射貫かれた
数回 食事や飲みに出掛けた
想いは募る だが 哲男がチラつく
あえて哲男の話しはしなかった
ある日
典子を送った時
「寄ってく?」
典子の言葉に驚く満男
「あっ! あ あぁ」
動揺が隠せない
典子は満男とデートを重ねていたが 哲男との関係も続いていた
自分が哲男の何人もいる女友達の1人なのもわかっていた
でも 哲男とのセックスに溺れかけている自分がいた
もしかしたら満男ならこんな自分を抜け出させてくれるかもしれない そんな事も考えていた
「満男さん 私を抱ける?」
「え?」
困惑する満男
「私は哲男に抱かれてる女だけど それでもいい?」
満男は何も言わず典子を抱きしめた
満男は童貞ではなかった 高校時代に哲男の女友達に面白半分で奪われた
満男は精一杯頑張った 哲男に及ばないのは自覚している
それでも賢明に典子を愛した
典子にもソレは伝わった 涙が流れた
セックスの後で涙が出るなんて ロストバージン以来だなぁ・・・
典子は自分の胸で呼吸を乱している満男の頭をそっと撫でた
「の 典子さん 正式に俺と付き合って欲しい!」
生真面目な満男の言葉が嬉しかった
「はい」
典子の返事に満男も嬉しさが込み上げた
問題は・・・
「二人揃ってなんの用だ? まあ だいたい察しはつくけどな」
哲男の前に並んで座る満男と典子
「典子と付き合ってる」
「そうか・・・で?」
「典子と・・・」
満男は言葉に詰まる
そもそも 哲男と典子は付き合ってたのか?
別れてくれって可笑しくないか?
そんな事が頭に浮かんだ
「兄貴は他にもたくさん居るんだから・・・」
「あ?あぁ?」
今まで一度も見たことのない顔で哲男に睨みつけられた
「あ!いやぁ・・・」
遊び相手の1人ぐらい そう考えていた満男には 哲男の反応は意外だった
満男の戸惑いに気づいたのか 哲男はいつもの顔に戻り
「君はそれでいいんだね?」
典子に聞いた
頷く典子
「わかった まあ せいぜい頑張れや」
ホッとする満男は困惑顔の典子に気づかなかった
その日の夜 典子の携帯が鳴る
哲男の声
「大丈夫なのか?」
「なにが?」
「満男と付き合うって?」
「大丈夫だよ てか大丈夫ってなによ」
おどけたように言い笑う典子
「お前 満男の・・・」
言いかけて止めた
「満男は誰かさんと違ってすご~く優しいの 一途に愛してくれてる」
「そうか・・・なら良い」
「まさか嫉妬?」
「まさかぁ」
そう言って哲男は笑った
「俺の大切な弟だ 裏切る事は たとえ 典子でも許さんぞ」
「わかってる」
話しを終える
哲男の中にいろいろな思いが浮かぶ
典子を手放すのは 惜しい気もある 顔もスタイルもエロさも全て哲男を満足させるものだった
女友達を1人づつ整理してゆくゆくは?とも考えた事もあった
(相手が満男じゃあなぁ・・・)
身を引くしかない そう思った
ただ
性欲の強い典子を満男が満足させられるとは思えなかった
本当に大丈夫なのか・・・?
つづく
※元投稿はこちら >>