徹は「歴史風俗研究会」という学生サークルからも講演のオファーも受けた。
『日本の精力絶倫な男女』と題する講演を京都のとある私立大学で行なった。
以下、その要旨……。
明治維新の頃、性に関して厳格だったヴィクトリア朝時代の欧米の価値観が日本に輸入された。
一夫一婦制が正規化したのもその頃だ。
近頃世間ではやたらと性の純潔さが求められ、不倫や浮気はバッシングを受ける。
が、古来の日本では人格者でも武将でも殿様でも側室や妾を抱えた。
貴族は男女共に和歌を詠んで異性を口説き、庶民は春と秋の年に2回開催される祭の日に野合(フリーセックス)を愉しんだ。
女帝孝謙天皇は一度退位したのちに重祚として称徳天皇となり道鏡なる僧を側近へと召し抱える。
道鏡は巨根の持ち主で「坐ると膝が三つ出来」と後世の川柳に詠まれるほど。
これでアラフィフの熟女帝を籠絡したという。
称徳天皇は道鏡を寵愛しつつ彼の巨根だけでは満足せず他の様々な法師のモノで快楽に耽った。
彼女の死因は山芋をペニスの形に削って自慰する最中にそれが膣内で折れて取り出せなくなったことだという。
平安初期に在位した嵯峨天皇は56歳で崩御するまでに24人の后との間に50人もの皇子皇女を作った、有数の絶倫。
平安貴族の女性でも特に奔放だったのは和泉式部だ。
彼女は冷泉天皇の第三皇子だった為尊親王と恋仲にあった。
『和泉式部日記』には冒頭から死んだ恋人の弟と寝た女の複雑な心理描写がある。
彼女はこれ以外にも様々な男に手を出し、娘の誕生時には父親が誰だか分からないという和歌を詠んだ。
時の権力者、藤原道長も淫奔な和泉式部を咎めたという。
『古今和歌集』に多くの歌を残した平安期の貴族、在原業平。
井原西鶴が著した『好色一代男』のモデルだ。
関係を結んだ女性がとにかく多い。
55年の生涯で下は10代から上は99歳まで、凡ゆる世代の女性3733人を抱いたという記録が残っている。
AV男優並の精力だ。
精力は兎も角、50歳以上の高齢の女でも相手にできるとは驚きだ。
当時の50歳といえば、現在の70歳代後半に相当する。
『源氏物語』を著した紫式部は、男性よりも女性を好んだ。
10歳代で嫁ぐのが一般的だった時代に彼女は初婚が20歳代後半だった。
女性とのレズ関係を憂慮した彼女の父親がその女性と離別させるために無理に縁談を纏めたという。
夫が死亡すると彼女は生涯独身を貫いた。
『紫式部日記』には宮中に仕える女性同僚が寝ている間に悪戯して怒られた逸話がある。
小少将の君と呼ばれる女性との愛を語り合う男女のような和歌のやり取りも記録されている。
光源氏という男の奔放な性欲を描いた紫式部は女の性欲も色濃く描いていた。
徳川家康には正室が2人と側室が16人以上いた。
特徴的だったのは家康が未亡人ばかりを選んで側室にしていたことだ。
加藤清正や浅野幸長ら同時期の武将たちは遊女から感染した梅毒で死亡していた。
そのため、家康は遊女に手を出すことはなかった。
朝鮮人参などの薬草を独自に医師に調合させて服用した。
66歳でも子作りに成功したという。
一茶よりも強力な性豪だ。
家康は75歳まで生きた。
精力絶倫な男は総じて長生きした。
女好きの偉人たちは無類の健康オタクだった。
最も多数の子供を作ったのは江戸幕府11代将軍徳川家斉だ。
69年の生涯で女達に55人の子供を産ませた。
日によって女を取り換えることができる身分だった。
毎晩、新鮮な興奮を覚えながら次々と女を抱いた。
毎晩、昨晩とは異なる新たな女の感触を愉しんだ。
華奢で細身の女。
大柄で豊満な女。
恥じらいで喘ぎ声を押し殺しながら悶える女。
奔放によがり声を放って腰を振る女。
どの女も家斉の子供を産むことに必死だった。
家斉に気に入られるために必死だった。
家斉を気持ちよくすることにも必死だった。
家斉はどの女を抱いても気持ちいい思いをした筈だ。
気持ちよくて気持ちよくて毎晩どの女にもたっぷりと中出しした筈だ。
彼は当時貴重品だった牛乳を飲んだ。
鎖国中の時代に入手困難だったオットセイのペニスを粉末にした精力剤を中国やオランダから長崎の出島経由で輸入させたという。
また、初代総理大臣の伊藤博文は当時最先端の乗り物だった馬車で連日連夜、吉原の遊郭を訪れた。
遊郭帰りの伊藤博文が馬車で帰ろうとした際のこと。
博文は通りすがりの芸者にひと目惚れした。
直ちにこの芸者を自分の馬車に乗せた。
一晩中馬車を走らせながら日本初のカーセックスを愉しんだ。
夢中になってその芸者の躰を責め立てた。
相手が「馬車の中は狭くて痛かった」と暴露したことで事が発覚。
明治天皇から女遊びを慎しむよう窘められたという。
さらに、初代大蔵大臣、内閣総理大臣などを歴任した松方正義には妾が20人以上いたとも言われる。
明治天皇に「子供は何人いるのか」と聞かれたとき、全てを把握していなかったらしい。
男にとって、子供が出来るかどうかはどうでもよい。
大事なことは子供を作る過程でどれだけ気持ちよくなれるかだ。
※元投稿はこちら >>