幼時期の性についての研究は、児童虐待の観点から、国際的に見てもそれほど進んでいない。
日本の児童虐待防止法では「児童に猥褻な行為をする又は児童をして猥褻な行為をさせること」として性的虐待を定めた。
が、一部の児童相談所が「挿入」がなければ性的虐待ではないと主張したため、「猥褻」の定義も含め、種々議論が生じた。
D.Finkelhorによる定義。
「13歳未満の子供が5歳以上年上の者と性的接触することを性的虐待とする」
Baker and Duncanによる定義。
「大人が16歳未満の子供と自らが性的興奮を目的とする行為をもつこと」
Schechter and Robergeによる定義。
「大人が、子供が未成熟でその意味を正確に把握できないような性的な行為をもつこと」
性的虐待には様々な定義がある。
一方、茜のような年齢の時期には一般的には自身の肉体や他人の肉体を知りたがり、様々な性行動を行うことが知られている。
性的虐待の被害者は不必要な性行動を発現することが多いが、そうでない場合でも性交や成人の性行動を模倣することがある。
キンゼイ報告(Sexual Behavior in the Human Male, 1948, 1953)によれば5ヶ月の年齢から自慰でアクメを得られるという。
3歳までは、少年より少女の方が自慰行動が多く見られることも分かっている。
成人女性に類似した状態で性的に刺激された少女は腟でもアクメに達するという。
少年の場合も射精を伴わないドライオーガズムが可能である。
ある調査によれば、一般的には性的発達は次のような過程を経て形成されるという。
男子の場合は……、
性的関心から、異性への接近、性的興奮、マスターベーション・射精へと進み、キス願望から異性と交際、異性の肉体に触れ、キス・ペッティング、性交に至る。
女子の場合は……、
異性への接近から、生理、性的関心、異性と交際へと進み、キス願望、異性に肉体を触られての性的興奮からキス・ペッティング、自慰、性交に至る。
一般的には女は男からペッティングを受けることで自身の性感帯を知り、次第に自慰に目覚めると考えられている。
が、無自覚とはいえ実際は幼少時から自慰に目覚める女子も少なくない。
性交に対する興味も男子より女子の方がより強い傾向が見られる。
十数年前の日本の高校3年生対象への調査では、男子の4割程度、女子の5割程度が性交経験者であった。
もちろん、茜はまだこの段階を経ていない。
徹と加奈子は、どこまで茜の興味関心に応じるべきかという問題に直面したのだった。
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