加奈子は茜の質問に素直に応じた。
「セックスって気持ちいいの?」
茜が続けて質問する。
「……そう、パパもママも2人とも気持ちよくなるの」
「私、妹が欲しいな、ねぇママ、も一度パパとセックスして私の妹を作って、お願い」
茜が急に話題の方向性を変えた。
「動物や昆虫と違って人間の場合はセックスしても赤ちゃんができるとは限らないのよ」
「なんで? じゃ、どうすればいいの?」
茜は好奇心を剥き出しにして加奈子を質問責めにした。
「パパとママが赤ちゃんが欲しいって願いながら毎日セックスすればできるかも……」
「ねぇねぇ、妹が欲しいよぉ、パパに頼んで作って、お願い」
「じゃあ、頼んでみるわね」
茜は再び図鑑の中の交尾する動物や昆虫の姿を眺めた。
「ママ、動物たちにも交尾で赤ちゃんができないことがあるの?」
「えっとねぇ、動物の種類にもよるけど、大抵はね、発情期といって交尾する時期が決まってるから、ちゃんと産まれるようにできてるのよ」
「ふぅん、じゃ、パパとママの発情期は?」
「……人間の場合はいつでも、パパとママは愛し合っているから」
「え? じゃ、すぐに妹ができるね」
「そうじゃないの、パパとママは子供ができることを願ってセックスしてるわけじゃないの」
「じゃ、なんでしてるの?」
「さっきも言った通りセックスが気持ちいいからよ、お互いに好きになった男の人と女の人は、セックスすると気持ちよくなるのよ」
「私も気持ちよくなりたい」
「茜ちゃんにはまだ早いかな、相手の男の子もいないでしょ? セックスはね、茜ちゃんが大人になって、好きな男の人ができたらするものなのよ」
「ふうん……、ねぇママ、今日の夜もパパとセックスするの?」
「えっ?」
この最後の問には加奈子はやや狼狽した。
茜の図鑑には動物や昆虫の交尾の写真は掲載されているが、人間の性交の写真はない。
交尾や性交に興味を抱いた茜が人間の性交を見たいと考えることは寧ろ当然だった。
「……するわよ、見たいの?」
「うん、パパとママがどうやって私を作ったのか、どうやって私を作ったのかを見てみたい」
茜がもつ興味関心の中に大人のようなエロの視点は全くなかった。
茜が徹と加奈子のセックスを見たがる心境の真意は、純粋に人間がどうやって性交するのか、だった。
性交で気持ちよくなるとはどういうことかを知りたいということだけだった。
「……そうねえ」
加奈子は返答に窮した。
※元投稿はこちら >>