駅に向かうレンタカーの中、私は泣きじゃくりながら運転中の彼に向かって言葉を紡ぐ。
恥ずべき矮小な私自身のこと。
対照的に老夫婦が彼の再出発を祝っていたこと。
そして自己満足に突き動かされた私が、結果として二人が彼女の死を受け止めざるを得なくしてしまった事実。
・・アタシは・・許されるべきではない。
途中、路肩に車を停めた彼。
ハザードの音が響く車内で彼が口を開く。
「・・そうなのかもしれないし、そうじゃないのかもしれない。」
それは誰にも分からない。
けれども・・・。
「・・それを決めるのは・・」
私ではないのではないか。
ヒトは全能ではない。
それ故に過ちを犯す。
そのつもりが無くとも、或いは良かれと思った行為が誰かを傷付けているかもしれない。
犯してしまった過ちを無いことには出来ないというのならば。
或いはそれが良心の呵責に耐えられないというのであれば。
「何もかも抱えて生きていくしかないよ。」
犯してしまった過ちも。
良心の呵責も。
「後悔しながら、それでも生きていくのが償いなんだと思う。」
そして少なくとも『償うこと』は許されて然るべきであろう。
「それしかない。」
「・・う・・ん・・。」
傾き始めた冬の陽に染められた車内には、不規則な私の嗚咽と規則的なハザードの音だけが響いていた。
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