美波たちは食事が終わると仙台に戻って行った。夜には店に出たいと裕二は思っていた。
「たっくん、バイバイ~」別れ際に2歳の琴美が辰徳に抱きつき頬にキスをした
「それじゃ気を付けてね、ありがとう」母の久美子が手を振る
「琴美ちゃんまたね、裕二さんありがとうございました」美咲が裕二に会釈をする
「美波ちゃん、裕二さんにサービスしてあげてね」美智子が満面の笑みを浮かべた。美智子は仙台に住んでいるので、ちょくちょく裕二の店にも顔をだしている。
三人を乗せたランドクルーザーが走り出した。
「しかし、お母さんいつまでたっても若いな~」後ろの席の琴美が眠ったのを確認して裕二は美波に語り掛けた
「そうね、まるで誰かに見せるために若さを保ってるみたい」
「誰に見せるんだよ」
「少なくともあんたじゃないから安心して」
「おいおい」
「似てきてるんだよね…」
「誰に?」
「たっくんがね、ノンに」
「ノンって、あの事件で死んだ子か?」
「うん」裕二は事件の真相を美波から聞いていた。裕二自身若い頃はかなりの悪で、母親を犯した経験もある。そのことは美波にも話してあった。
「女の嫉妬ってすごいね、またあの時みたいにならないといいけど…」
「おい」
「さっき、見た、琴美が、たっくんにキスしたら貴美ちゃんほっぺ膨らませてにらんでたよ」
「おお、まじか!」
「それだけじゃない、ママもお姉ちゃんも、美智子さんだって、三人の圧すごかったんだから」
「お~怖」裕二は両手を上に向けポーズを取った
「それじゃわたし先に職場に戻るね、みんなありがとう」主役の久美子は仕事に向かった。
「わたしは片づけしてから夜勤にそなえて仮眠するね、美智子さん、たっくんをお願いします」
「ええ、わたしの入る余地ないかもね」さっきの琴美のキスに刺激を受けた貴美は辰徳にべったりだった
「それじゃ、博物館に行こ」三人は景色を見ながら公園から石段をおり、久美子の勤める博物館に向かった。辰徳と貴美はしっかりと手をつないで石段を楽しそうに降りてゆく。その後ろを少し遅れて美智子は歩いた。同学年の二人、辰徳が頭分背が高くなっていた。いて年前は同じくらいだったのに。ノンも1年で身長が伸びた、中学2年の頃だった…、このまま辰徳がノンに似て成長したら、美智子は自分を抑えきれないだろうと思っていた。
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