公園での出来事があってから3週間も経過し忘れかけ始めた頃、唯のスマホに見知らぬ差出人からのメールの着信があった。削除しようとしたがタイトルに引っ掛かり削除できないでいた。
【タイトル】
◯月◯日△公園 放尿女
メールにはリンク先のURLとクリックしないと後悔。
短文の内容だが、どうしてよいのか悩んでいた。女友達に相談しようと考えたこともあったが、タイトルの放尿女で相談に踏み切れない。意を決して付き合い始めたばかりの橘君に相談することに決め、約束の待ち合わせ場所に橘君が来るのを待っていた。
「唯ちゃん、遅くなってごめんなさい。どうしたの?」
「私も今さっき着いたばかりだから。…。実は、変なメールの着信があって…」
「どんなメールなの?」
唯からスマホを渡されメールを調べる。
「差出人に心当たりは?」
「ないわ」
「リンク先はクリックしたの?」
「怖くてしてない」
「それにしても放尿女って、なんだろう。後、後悔って、なんか削除できない感じだね」
「そうなの、どうしたらいいかな橘君」
「悪戯じゃないかな。放尿女に心当たりとかないでしょう?削除しよう。後悔は気になるけど、例えば、リンク先に弱みを握っている内容があったり、メールを無視すると拡散とか。そうなると唯ちゃんが削除するかリンク先をクリックするか決めた方がいいかもしれない。あくまで例えだから拡散は」
弱みと拡散の言葉で唯は怖くなり削除に踏み切れず困惑する。
「唯ちゃん、放尿女って知ってるの?」
「…。知らないわ」
「じゃ、削除を」
「待って!」
橘からスマホを返して貰いリンク先のURLをクリックする。
独りの女性の女子トイレを盗撮した動画が流れる。
「顔はモザイクされているけど、うわぁモロ無修正。誰なんだろうこの女性は」
唯は動画が流れ始めた時点であの日の出来事を思い出し、盗撮されていることとは考えていなかった。顔だけはモザイクされ橘にバレずにすんだけど、放尿の一部始終を見られて羞恥で俯いてしまうことしか出来なかった。
「唯ちゃん、この女性に気づいたら教えた方がいいかもしれない。また、例えになるんだけど、無視すると顔のモザイクを消された映像が拡散されるかもしれない」
羞恥と恐怖で唯は泣きそうになるのを我慢し、橘にバレないように応対するしか出来ず、その日は解散した。
「唯に動画の御披露目できて最高~、今後の展開もやり易くなりそうだな」橘談。
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