あたし、次に彼の順にシャワーを浴びた。
今、彼がシャワー中。
あたしはホテルの浴衣を着てベッドの上で正座。
何故、正座なのか。
答えはノーパンだから。
浴衣の裾が少しでも乱れ難いようにしている・・つもり。
先にシャワーを浴びるように言いながら、タオルと浴衣を手渡した彼が次に言った言葉。
「着替えも洗濯も出来ないから・・」
下着は着けずに浴衣だけで待つべし。
・・マジかよ。
・・軽く羞恥、かつ放置プレイじゃねーか。
しかも、だ。
あたしは今日の経緯に想いを馳せる。
好意で送ってくれた彼に向かって放った数々の言葉。
処女です。
抱いて下さい。
自宅に行っていいですか?
やっぱりホテルでお願いします。
全てあたしの発言だ。
女子には有るまじき発言としか思えない。
更には浴室に設えられた大きな鏡に映った自分の裸身には動揺を禁じ得ない。
・・顔・・は、まぁいいや。
・・普段から見られてるわけだし・・
・・問題は・・この肉、だ・・。
デブ・・ではない・・と思う。
だが、『ふくよか』は超えている。
いわゆる『ぽっちゃり』だ。
気にはしていた。
ヤバいとは思っていた。
特にウェスト周りの贅肉が、もともと小振りな乳房を更に小さく見せる。
いわゆる寸胴だ。
いつか、そのうちに・・何とかしようとは思ってはいた・・けど。
『備えあれば憂いなし』の真逆だ。
くっそー、恨みますよ。
神だか仏だか知らないけど、さ・・。
がちゃり
シャワーを終えた彼が浴室から姿を現した。
「お待たせ。」
「・・・。」
泣きそうだった。
口を開いた瞬間、涙が溢れるに違いない。
怖かった。
逃げ出したい。
全部、無かったことに出来たなら。
ガチガチになった肩に彼の手が触れた瞬間、あたしの躯はびくりと震える。
見上げた彼の思案顔。
・・そーですよね・・。
・・自分から誘っておいて・・
・・何だよ、こいつ。
・・そう思いますよね・・。
「どうする?」
気が変わった?
嫌ならやめておく?
気が変わったわけじゃない。
嫌なのは・・こんな自分だ。
臆病で安っぽいプライドに・・しがみつく自分が大嫌いだ。
だから、これは罰だ。
彼に無様な裸を見られて恥ずかしい想いをするのも、痛い想いをする・・かもしれない、のも、、それから・・また失敗して惨めな想いをするのも。
あたしは唇をへの字に曲げたまま首を振ると掠れた声で呟く。
「お、お、お願いしま・・ふ。」
また噛んだ。
覚悟、決めろよ・・あたし。
情け無ぇーな。
※元投稿はこちら >>