あたしだって負けてなかった・・つもり。
意を決したあたしは或る日、躊躇いながらも彼に申し入れをしてみた。
・・えっと・・あのです・・ね。
いつもいつも・・有難う御座います・・。
・・で、ご提案・・というか、ですね。
お願いがあるんです・・けど・・。
今日だけでいいので・・・・あたしにエッチの主導権を渡して頂けないでしょうか。
御礼をしたい。
アナタに気持ち良くなって貰いたい。
かつ、何をどうしたら良いのかが今イチ、というか全く分からない。
つきましては、ご指導ご鞭撻の程、お願い申し上げます。
ま、趣旨としてはそのまんまだが、顔は真っ赤、汗はダクダク、しどろもどろだったのは間違いない。
訝しげな表情を浮かべた彼。
その表情が分かりやすく変わっていく。
「なるほどね。」
趣旨は理解出来ました。
だが指導は出来ない。
教えることが出来るのは、せいぜいフェラチオ程度だ。
「・・そもそも、だよ?」
テクニックではないのだ。
如何に相手を喜ばせるか、その気持ちが重要なのである。
如何にして気持ちを行為に込めて相手に伝えるか、なのだ。
あたしは畏まるあまり、正座をしていた。
「わ、分かりました。で、でわ・・」
せ、せめて・・フェラチオ・・を・・
・・ご指導、頂けません・・か?
「そぉじゃねぇのよ。」
何故か時々『おネエ言葉』に彼はなる。
フェラチオは出発点ではなく到達点である。
いきなりゴールの風景を確認してどうする?
・・分からないっす。
ジェダイの修行、か・・?
「まずは・・」
いつも俺がやってるようにやってみろ、と。
そう言い放った彼は布団の上、大の字に寝転んだ。
※元投稿はこちら >>