『出逢った』と言っても仕事上の出逢いだ。
別に劇的でも何でもない社内の他部署に所属する彼との出逢い。
単発の仕事で数ヶ月に渡り関わったに過ぎない。
一言で表現すれば変わったヒトだった。
仕事は出来る・・と言って良いのだろうか。
ピンポイントでツボを押さえた判断を下しながら、テキパキと遂行する仕事っぷり。
だが、あたしの眼から観てもドキュメント管理が粗雑、いや、お粗末に過ぎる。
『ゴメン。あの資料、もう一度貰える?』
・・またですか・・?
喉元まで出掛かった言葉を呑み込みながら、探し出したファイルを転送したことが何度かあった。
大した手間ではないが微妙に煩わしい。
しかもオトナゲが無い・・という噂だ。
直接、被害に遭ったわけではないが、社内の其処彼処で摩擦を惹き起こしているらしい。
『言い分は分かるけど、長いモノには巻かれろって言うじゃない?』
『あのヒト、いい歳でしょ?分別が足りないよ。』
『あれで管理職かよ。』
明らかに孤立しているらしい。
だが当の本人は何処吹く風。
傍若無人に振る舞う、その姿は自由そのものだ。
・・あんな生き方出来たら
楽しいだろう・・な。
何となく気になっていた。
異性として意識はしていなかったけれど。
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