・・ルンルン気分って知ってる?
昔、そういう小説があったんだって・・。
・・読んだこと、ないけど。
でも、あたしは・・そんな気分だった。
どこの少女マンガだよ・・。
・・ちゃんちゃら可笑しい・・ぜ。
自分がロマンスの渦中に在ることが信じられない。
だって無縁だったんだもん。
いや、無愛想な彼のエスコートは・・微妙だったけど。
だが、しかし。
明らかに気を遣ってくれているのが嬉しい。
くっそぉー。
まんまと乗せられた感は否めない。
騙されている・・のかな・・。
・・・・・・騙されても・・いい。
いや、騙されたい。
・・・・騙して欲しい・・。
だが現実は無情だ。
時間だけが過ぎていく。
シャワーを浴びて身繕いを済ませたあたし達は、ホテルを後にする。
時刻は午前十時過ぎ。
うぉ。
超秋晴れ。
雲ひとつ無いって、このことだ。
澄み切った秋の空が青い、高い。
『駅まで送るよ。』
そう言ってくれた彼の好意に甘えて、、ちょっとだけアソコが痛いのもあって、、車に乗せて貰った。
・・ホテル代、負担させちゃった・・。
あ。そうだ。
「・・お腹、空きません・・か・・?」
「そぉね。朝飯、何にしよっか。」
時々、おネエ言葉になるのは何故かしら。
せめてもの御礼だ。
朝ご飯をご馳走させて貰おう。
「天気いいから、外で食うべ。」
そう言ってハンドルを切った彼は、ドライブスルーのハンバーガー屋さんに向かう。
でもドライブスルーだから、お金を払うのは運転席側になっちゃうんですよね。
「あ。あたし、払います。」
「いいって。」
軽い押し問答の挙句、代金を払ってくれた彼。
また負担させちゃった・・。
・・・・・・・申し訳ないっす。
車内を微妙な沈黙が支配していた。
耐えられない。
と、彼が呟いた。
「・・いいんじゃねーの・・?」
「え?」
「今日くらいは、『お姫様気分』で・・。」
え?え?え?え?え?え?え?
どうしよう・・。
・・・顔、真っ赤だ。
だが、この沈黙を打破するのは今しかない。
「うむ。苦しゅうない。」
「てめーぶっ殺す。」
げらげらげらげらげらげら・・
我ながら快心の対応だ。
背中にビッショリと汗はかいていたけれど。
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