あたしは泣きながら語っていた。
失敗に終わった初体験。
恋愛に臆病な性格。
濡れ難い躯。
性に対する無知。
容姿に関する劣等感。
彼は何も言わずに黙って聴いてくれていた。
ベッドの中、頭と背中を撫でてくれる。
話してる間、ずっとだ。
・・ホントにずっと、、だったんだよ・・。
ようやく啜り泣きが収まった頃、さすがにあたしの益体も無い繰り言も尽きつつあった。
暫しの沈黙を破ってあたしは呟く。
「・・それに・・可愛いげ、ないし。」
「え?」
予想外のリアクション。
こっちが驚くぜ。
「可愛いげ・・なくはない、でしょ?」
「え?」
「少なくとも普通に可愛いよ。」
サービストークではなかった。
お世辞とか、そういうその場を取り繕う為の言葉ではなかった。
少なくとも彼の口調、表情にそういうニュアンスは皆無だ。
ていうか、お世辞や迎合をする人ではない。
・・三十年間・・ずっと・・
・・その一言だけが欲しかった・・。
ドンピシャだ。
心の隙間、埋めて頂きましたぁ・・。
同時に涙がボロボロと溢れた。
「ふれひぃれふ・・。」
「え?何?」
『嬉しいです。』って言いたかったの!
・・だって・・しょうがないじゃん・・。
鼻水ダラダラだし。
泣いてるから口が歪んでるし。
ちゃんと喋れるわけ・・ないよ・・。
しかも・・
・・・頭と背中を撫でられてるうちに・・
あたしは・・・
・・いつしか眠ってしまったのです。
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