十年前、学生だったあたしが何となく焦っていた、、男性経験が無いことに、、のは事実だ。
でも、その焦燥に根拠なんて無かったのも、また事実。
まぁまぁ親しかった先輩と飲み会を抜け出してラブホにチェックイン。
『遊び』で構わなかった、いや、遊ばれたかった。
・・ホントに俺でいいの?
・・はい。お願いします・・。
ホントに良かったのかは分かんない。
でも、その場はそうとしか言えなかった。
それに結局、未遂に終わったことにより、あたしの純潔は守られた・・と、いうか守られてしまったのだ。
濡れなかった。
もともと淡白なあたしは、オナニーも苦手というか・・どうすれば良いのか今イチ、分からない。
確かに気持ちいいのはいいんだけどイク・・なんて遠い話。
トンデモ本の中のトンデモ話だ。
いずれにせよ、未遂というよりは失敗に終わった初体験。
気まずいったら、ありゃしない。
・・体調とか、あるんだろうな。また、な。
でも当然の如く『次』は無かった。
分かってた。
不細工でもないつもりだけど、決して可愛くもない顔立ち。
やや、ぽっちゃりして胸は小さい。
男が敢えて手を出したい容姿じゃないのは自分でも分かってる。
加えて意外にも気が強い、と来たもんだ。
・・いいもんね・・。
あたしは自分の殻に閉じ籠もる。
意識が高いわけじゃないのに『意識高い系』を装うことしか出来ない。
しかも中途半端な『意識高い系』。
真面目に講義に出席して単位を取り、それなりの成績を修めながらも、資格を取る程の意欲は無い。
それでも、お陰様で何とか無事、就職して今に至る、と。
社会人なっても、あたしは変わらない。
周囲の人々と一線を画した人間関係は、やや孤立気味だが楽でいい。
そんなこんなで二十代の終わりが近付きつつあった或る日、あたしは彼と出遭った。
※元投稿はこちら >>