気付くとあたしは彼にしがみつくようにして抱き着いていた。
ハッ?
ひょっとして・・
・・既に・・ヤられちゃっ・・た・・?
幾ら何でもそれはないよ・・。
・・それじゃ、パンダの人工授精だよ・・。
麻酔薬で眠っているうちに・・みたいな。
・・初めてなんだよ・・。
結果として、それは杞憂だった。
「じゃ、いってみよっか?本日のメインディッシュ!」
軽っ!
・・メインディッシュじゃなくて
メインイベントだろ・・。
・・頼むよ、おっさん・・。
三十年モノの乙女心を満たしておくれよ。
そしたら一生、恩にきるぜ・・。
ぬぷり
彼の指があたしのアソコに埋ずめられた。
痛くはない。
痛くはないが違和感は否めない。
「大丈夫?」
「だ、だい・・じょ・・うぶ・・。」
・・お願い・・します・・。
大丈夫なわけがない。
掠れた声。
躯が震え、縮こまる。
だけど・・あたしは自分自身を叱咤する。
今でしょ、今!
今!
ここで!
今日、純潔を散らせずして、いつ散らす?
後、千回くらい生まれ変わって同じシチュエーションに繰り返し巡り合ったとしても・・あたしは同じ選択をして同じことを言うだろう。
ゆつくりと、かつ慎重に挿入された指があたしの股間で蠢いていた。
おそらく、挿入されているのは彼の中指。
優しく出し入れしたり、掻き回したり。
既に違和感は殆ど感じない。
と、おそらくは彼の親指がクリトリスに触れた。
優しく敏感な突起が捏ねられる。
捏ねながらも徐々に圧力が加えられていた。
内側と外側から同時にだ。
あ。ぁ。あ。
ぁひぃいぃぃ・・・。
怪鳥のような悲鳴だった・・らしい。
最初は激痛だと思った。
脂汗が流れる。
でも違う、痛みじゃない。
こ、こ、こ、壊れる・・。
躯が、だ。
精神が、だ。
Gスポットって言うらしいです、はい。
知らなかったこと・・いっぱい、だ。
あたしの入り口に彼のアレが触れた。
いよいよ、だ。
彼のアレが入り口をノックする。
硬くって熱くって・・それの先端が浅く埋ずめられた上、掻き回されていた。
・・ノック・・が、気持ちいい・・。
ずぶり、ずぶ、ズぶ、ずブ・・・・。
徐々に挿入が開始される。
痛いような。
痒いような。
困っちゃうけど、大歓迎・・みたいな。
その時だ。
彼はボソッとあたしの名前を呼んだ。
苗字じゃなくて名前だ。
初めてだった。
いつも・・いや、つい先刻まで苗字に『さん』付けで呼んでたクセに。
下の名前で呼びやがった。
粋なコト、しやがって・・。
あたしは、と言えば・・・・今日、二度目の『ぶわっ』だ。
ワケ、分かんねーよ。
女の子、泣かせるなんてサイテーだ。
『解剖中の蛙』は泣きながら蝉みたいに彼にしがみついていた。
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