その夜、私たちは裸で抱き合って眠った。これが新しい日常になってくれれば願いながら。
2038年6月某日火曜日、私は早目に出勤していた。むろん舞香のマンションからの出社なので、普段と同じ時間に出ても早目に出勤したことなるのだが。30分後に舞香が出社してきた。もちろん二人の時とは違い、おさげ髪に丸メガネ姿だ。午前中の業務をそつなくこなし、昼休み、デスクでうたた寝をしていると、きょうこからメッセージが届いた。
「パパ、元気?」
「ああ、元気だ、君は?」
「元気だよ、欲求不満だけど」
「それは困ったね。君は可愛いんだから、他に彼氏作る気はないのかな?」私は逃げ道を探っていた。
「作らないよ、だって、きょうこは一途だから」ハートの絵文字がたくさんついていた。
「そうか、でも申し訳ないけど、まさとは」
「わかってる、だから今はパパに一途ってこと」
「えっ?」
「だから日曜に家族まで紹介したんだよ~」
「ちょっと、待って、それって、私にってこと?」
「うん!」私は混乱していた
「課長、奥さんにメールですか、ラブラブですね」入社5年目の女子社員から声をかけられた。遠くから舞香が見つめているのがわかった。
「すまん、そろそろ仕事に戻る」私はスマホをしまった。
6時に退社すると舞香に電話をかけた
「もしも~し」例のモノマネで舞香が出た
「似てるよね」
「ありがとう、でもノンさましか気づいてくれないかも」
「そうかな~」私は笑顔になっていた。舞香と話が出来てほっとしていた。
「昼休み、誰とメールしてたんですか?」舞香は確信を突いてきた。
「きょうこからだ」
「もう、相手は女子高生ですからね、いくら条例が改正されて、女子高生とエッチしてもOKな世の中になったからとはいえ、倫理的にはNGですからね」5年前に全国的に条例が改正され、淫行罪は中学生以下が対象となった。経済が活況だと夜の風紀への締め付けも緩くなるものだと感じた。
「家庭持ちの男が、30代のおっぱいが大きくて魅力的な女性と恋に落ちるのは、倫理的に問題じゃないのかな?」
「いじわるね、お互い心から愛している場合は良しとしましょう」
「そうだね、愛してるよ舞香」
「もう、いきなりなんてズルい~、録音できなかった~」
「ハハハ」舞香との会話は楽しかった
「そうだ、きょうこは何って言ってきたんですか?」
「そうだ、日曜の夜、ステーキ屋で、彼女の家族と会ったことは話したよね」
「ええ」
「あれ、私に紹介したかったかららしい」
「それって、もしかして、本命があなたってこと?」
「それはわからない」
「ねえ、次はいつ泊りに来てくれます?」舞香は話題を変えた
「まだ、未定だよ」
「もう、寂しい、またストーカーに戻ろうかな~」
「それもいいかもね」
「ノンさま、愛してる」
「ありがとう、それじゃ帰るね」
「そこは愛してるでしょ~、録音してたのに~」
「さっき言ったじゃん」
「あ~あ、一人の寂しさに耐えられないかも」
「わかった、言うよ」
「まって、いいですよ」
「ん、んん、舞香、愛してるよ」
「わたしも、愛してます、敬之さん」
「おいおい」
「やった~、これで完璧、それじゃ気をつけて帰ってくださいね。明日また」
「ああ、また明日」私は電話を切り、家路を急いだ
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