夕方まで私は舞香と過ごした。
「嬉しいな、ずっと夢見てたんです。こうやって敬之さんと腕を組んで歩くの」繁華街を歩いていると舞香は微笑みながら言った。
「胸が当たってよ」私は小声で言った
「ふふ、気づいちゃいました、わざと当ててるんです」いたずらな笑顔を向ける舞香。私は苦笑いした。
「あの小物可愛い~」若ものに人気の生活雑貨の店の前で舞香が指さした。同じ部署で働き、当たり前のように接したきた女性がこうも魅力的で、愛しい存在になるとは…
「これ買っちゃおうかな」小物を手にわたしを見る舞香、その笑顔が眩しいくらい輝いている
「私が買ってあげるよ」
「わあ、嬉しい」はしゃぐ舞香、それに比べ、妻と二人で外出したのは…、5年以上前のことか…、息子たちに寝取られても仕方ないのか、私は妻を女性としてとっくに意識しなくなっていたのか、舞香の表情が瑞々しく、強く女性として意識している自分に自己嫌悪を抱いた
車で移動し、私たちは小高い山の中腹にある公園に到着した。天気も良く、花々が咲き乱れていた。
「敬之さん、花が好きなんですね」つつじを眺めている私に舞香が言った
「ああ、この年になると花を愛でたくなるもんなんだよ」
「わたしも花を見るのが好きです。今度一緒に遠出できればいいですね」
「そうだね」私は舞香の手を握っていた
「敬之さんから手をつないでくれるなんて嬉しい」舞香の笑顔を手放したくないと強く思った
※元投稿はこちら >>