【藤原みゆき④】
「ふぅー、結構大変だったなぁ、、」
「こんなに、しんどいとか、、聞いてない、、」
俺とみゆきはレジャー施設を満喫した。かなり疲れたが、それなりの充実感はあった。
「明日が休みでよかった、、」
みゆきがそういうと、喉をならしながらペットボトルの水を飲みほした。
「はぁ、、もう夕方なんだ。」
「だな。少しカフェでもいく?」
「うん。どこ行く?私あんまりここら辺開拓してないから、わからないかも。」
「このビルの二つ先にカフェあるから、そこ行こ。」
「そうなんだ。なーんだ、ちゃんと調べてる。」
「まぁ、俺が行きたかったところだけど。」
カフェに行くと落ち着いた雰囲気で体を休めた。レジャー施設の感想を言いあい、ひとしきり話した後、みゆきはポツリポツリと話し始めた。
「宇野くんと付き合い始めた頃は、とってもハンサムでカッコいいって印象しかなかったの。だから、何も悪いことが起きるなんて、想像してなかったの。」
俯いたまま、みゆきは話を続ける。
「付き合って1カ月くらいかな。キスして、そのままセックスしたの。ファーストキスに初体験、とにかく初めて尽くしだったけど、私とっても興奮してた。けど、そこからが悪夢だったの。宇野くん、毎日放課後になると私の身体を求めにきたの。初めは宇野くんのお家。共働きで一人っ子だったから、俺の家がいいって。でもそれから私のお家でもするようになったの。」
コーヒーカップに注がれたカフェラテを飲み、また話す。
「付き合い始めて2ヶ月経つ頃には、コンドームもつけないでしようとして私はピル飲んでしてた。中に出すようにもなって、ホントに怖かった。ピル飲んでも避妊出来るかわからないし、シャワーでできるだけ洗い流して、、」
そこで、声が止まった。俺は口を開いた。
「辛かったこと、思い出させて、ごめんな。」
「ううん、、私も、もう、誰かに話したかった。私のことビッチだと思ってた人も多かったし、原口くんが言ってた孕ませ事件も事実。危険日に無理やりされたの。」
「それって、、もう犯罪じゃないか。」
「さんざん遊ばれて別れたあと、宇野くん、今度は良美に目をつけたの。それで良美は宇野くんと良く一緒にいたから、彼のセックスのことも知ってて、逆らったらレイプされるって分かってたの。私、これ以上女の子が男に傷つけられるのみたくなくて、、宇野くんに言ったの、、、ヤるなら、私にしてって。」
この前電話で有永が言ってたのは、このときのことだったのか。それであんなに泣いていたのか。ようやく俺の中で話が繋がる。
「妊娠させろって言われて、危険日にしたの。案の定、一週間後に妊娠がわかった。私はその事を両親に話したの。そしたら二人とも激怒。けれど、良美のことだったり、宇野くんのことも全部話したら、泣きながら慰めてくれて。そこからは、早かったかな。宇野くんとその両親、私と私の両親、学校側の三者で話して、一応和解って形になったの。宇野くんのお父さんはその事がきっかけで、地方に転勤になって、それからは知らない。」
とても緊張したのか、ぷつっとヒモが切れたようにみゆきは肩を落として脱力した。
「誰にでも話せることじゃないけど、なんかゆうたになら話せる気がしたの。こんな話ししちゃって迷惑だった?」
「ううん。みゆきが楽になれるならそれで良かったんじゃないかな。俺が理解できない部分もあるけど、迷惑ではないよ。」
「優しいね、ゆうたは。」
「そうか?理解できてないだけだよ。」
そう言うとみゆきは優しく微笑み、どこかすっきりした表情だった。その後場所を移しイタリアン料理店に入った。ピザやパスタをシェアし、ワインなんかも飲んだ。みゆきは肉体的な部分と精神的な部分で疲労し、そこに酒が入ったことでかなり酔っていた。
「んんー、、次のお店はぁ?」
「次はないの。ほら、帰るぞ。」
「ええー、まだ居たいー。」
「駄々こねるなよ。ほら、水飲んで。」
コップ一杯の水を飲ませると、身体を支えるように店からでて駅まで行った。途中までは一緒だが、そこから先は別れる。どうにかしようと思ったが、みゆきは未だに支えないと歩けない。仕方なく家まで運ぶことにした。
「ほーら、みゆき。家に着いたぞ。ここで良かったんだのな?」
「、、んっ。」
返事か分からない相槌を聞き、鍵で開ければ家だとわかった。ベッドまでみゆきを連れていくと、玄関を締め、鍵を掛ける。
「さて、やっと着いた。どれ?身体の調子でもみるか。」
ベッドに仰向けになったみゆきは、息を少し荒くして、身体をくねらしていた。まるで何かのクスリを飲まされ、身体が火照っているかのように。
「おー、順調順調。まさかまたコイツに会える日がくるなんてな。この前は堕ろさせたらしいけど、今度はちゃんと孕ませるからな。」
そう言うと、ベッドへと向かった。
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