道が空いていて、1時間もしない内に目的の公園に到着する。
雨のせいか、時間が早いせいか駐車場はガラガラで他の車は停まっておらず、歩いている人影もない。僕たちはゲートでチケットを買い、ほぼ貸し切り状態の園内に入る。
鉛色の空と白雨に包まれた広大な敷地はただただ静かで、僕は先生と二人だけの世界に居るような錯覚に囚われた。
赤や黄色に色付いた木々を眺めながら暫く静かに歩いた後、先生が口を開いた。
「あのさ…○○君はどうして私を好きになってくれたの?もうこんなにオバサンなのに」
「初めてピアノを弾く先生を見た時に、この世界にこんな綺麗な人が居るんだなって感動して…。本当に好きになるのに歳なんて関係ないよ」
「綺麗かどうかは別にしてピアノを評価してくれるのは嬉しいなぁ」
「あれはほんとにすっごい感動した。手がこうフワッとして…なんかパーっと気持ち良さそうに弾いてて…上手く言えないんだけど…」
「うふふ。ありがとう」
僕は先生の傘を持ち相合傘で雨を凌ぎ、僕から差し出して空いた手を繋いだ。
先生の白く柔らかい手は凍える程に冷たかったが、繋ぐ内に温かさが戻る。それに合わせるように僕たちの距離は縮まり肩を寄せて歩きながら沢山話をした。
「そろそろ車に戻ろうか?」
「うん。そうだね。先生寒くない?」
「温かいよ~?」先生は冗談ぽく僕の頬に繋いで温まった手を当てた刹那、僕は先生に顔を寄せ唇を重ねた。
「ん…」微かに甘い声を上げる先生。
傘に隠れて僕たちは何度もキスをする。
「ダメだよ…」
「先生の事すっごい好きです」
視線を合わせ、顔を寄せると先生は拒まずに僕の唇を受け入れた。
帰りの車、僕たちはキスの事はあまり話題にせずに、想像以上だった公園の規模や、綺麗な景色について話しつつ次のデートの約束をし、途中で美味しいと評判のラーメンを食べて帰った。
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