「もう俺に声をかけるな。」
そう言い残して、一人その場を去った。
ヤツは三ヶ月も前からカナと関係をもっていた。
二人は何度も密会を重ね、それは今でも続いている。
ヤツは俺に友人ヅラをしながら、平気で人の彼女に手を出すクズ野郎だった。
もちろんカナも同罪だ。
だから俺は昨日、はっきりと別れを告げた。
こいつらは二人の関係を隠し、板橋を加えて四人で、さも何事も無いフリをしてずっと過ごしてきたわけだ。
いや内心、優越感に浸り嘲笑っていたに違いない。
女癖が悪いことは知っていたが、ここまでクズなヤツだとは思っていなかった。
板橋は気付いていたのだろうか?
いやそんなはずはない。
板橋はそんなことを許す女じゃない。
校舎を出たところで後ろから声をかけられた。
一人追いかけてきた板橋だった。
「待って、森島君、、、いったい何があったの?」
本当に心配そうに尋ねてくる。
胸が締め付けられる。
彼女が心配しているのはヤツのことだ。
俺のことじゃない、、、
そんなことはわかってる、、、
「わたし、イヤだよ、、、友達じゃなくなるなんて、、、そんなの寂しいよ、、、どうしてなの?」
板橋はヤツの浮気を知っても、許すのだろうか?
それが親友のカナであっても、、、
「俺からは言えない、、、ヤツに聞くんだな、、、」
「カナが、、、関係しているの?」
「さあな、、、、一人にしてくれ、俺は帰る、、、」
振り向かなくても、板橋が悲しい顔をして見送っているのがわかる。
彼女を苦しめるヤツに無性に腹が立つ。
カナが浮気したことよりずっと、、、
そもそも俺は板橋を諦める為にカナと付き合い始めたのだから、、、
つづく
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