「お母さん?」
母親まで学校に呼ばれている。
父は出張中だ。
本当は父も呼ばれたのかも知れない。
これはもうただ事では無いのがはっきりと分かった。
母は黙って見つめていた。
辛そうで、悲しそうな顔をして、、、
いったい何が起こっているの?
不安で胸が張り裂けそうになる。
そういえば、今日まだソラを見かけていない、、、ソラに何かがあったの?
「では斉田さん、お母さん、どうぞお入り下さい。」
中には女の校長先生とこれもまた女性の学年主任の先生がいた。
挨拶を済ませると二人は促されソファに腰を下ろした。
「単刀直入に言います。実は昨日の夕方、ある教室で男女二人の生徒がいかがわしい行為をしていたと、ある生徒から訴えがありました。」
再びミドリの頭の中が真っ白になる。
「斉田さん、思いあたることがありますか?」
「、、、、、はい、、、」
「そんな、、、そんなことウソでしょう?ミドリ、、、まさか、、、そんな、、、、、相手はソラくんなの?」
母が慌てたように詰め寄って来た。
「違う、、、、ソラじゃない、、、」
「えっ、、、どういうこと?ミドリはソラくんと付き合ってたんだよね?違うって、、、ミドリ、、あなた!」
「まあ、お母さん気持ちはわかりますが、ここは落ち着いて、、、」
「それとこんな写真が学校に送られてきました。」
メガネをかけた中年の学年主任が写真を二人の目の前に置いた。
それは腕を組んで、ラブホテルに入っていくミドリとアツシの写真だった。
嬉しそうに微笑んだミドリの顔がはっきりと写っていた。
写真は何枚もあった。
どうしてこんな写真が?
わたし達、誰かに見られていたんだ。
もう何もかもお終いだ、、、
きっと、もうみんな知っている、、、
「この男は誰なんですか?」
「隣のクラスの男子生徒です。昨日、教室でミドリさんと関係を持ったのもその生徒です。」
「関係を持ったって、、、まさか、、、」
「お母さん、、、残念ですが、娘さんはその男子生徒と教室で性行為を、、セックスをしていました、、、実はその行為が録画されていて、ネットで拡散されていました。すぐに削除させて、本人には厳重に注意しましたが、拡散は止めることは出来ないでしょう、、、本当に残念です、、、」
みんなにあんな自分を見られた、、、
あんなに醜い自分の姿をソラに見られた、、、
ソラは絶対に許してくれない、、、
他のみんなも、、、
「ミドリ、あなた、なんて事を、、、謝りなさい、、、、今すぐソラくんに謝りに行きなさい、、、」
「お母さん、大神君は今日、欠席しています。昨夜から部屋に隠って出てこないそうです。声をかけても返事もほとんどしないようです。電話もつながりません、、、」
山吹がそう告げる。
「ソラ、ごめんなさい、、、」
ミドリの瞳から涙が溢れていた。
「わたし、、、ソラにあってきます、、、ソラにあって誤ってきます、、、」
山吹は首を横に振った。
「斉田さん、残酷な言い方だけど、無理だと思う。ソラくんが今一番会いたくないのはあなただから、、、」
もうお前とは帰らない、そう宣言したソラの顔が頭に浮かんだ。
あんなに優しいソラが、あの時わたしを見限ったんだ。
白々しい言い訳をしてソラをだまして、誤魔化すことばかり考えていた自分を見限っていたんだ。
わたしは最低だ、、、
「それから言い辛いんですが、先ほど相手の男子生徒からも話を聞きました。相手はミドリさんに誘惑されたと言っています。大神くんじゃ、その、、、もの足りないと言って、ミドリさんの方から、、処女をもらって欲しいと誘ってきたと、、、彼女がいるからと断ったのに、ミドリさんが自分で服を脱いで、胸を見せつけて言い寄ってきたと、、、、ゴホン、、、」
「ミドリ、あなた、、、」
「違います!そんなことウソです!アイツが誘って来たんです。わたしがソラのことをもの足りないなんて言うハズがありません。」
「それにミドリさんの方から何度もホテルに誘って来たと、、、昨日も教室でしたいとミドリさんの方から誘ってきたと言っています。」
「ウソです、そんなのウソです、、、、、ホテルにはわたしの方から誘ったこともあります、、、、昨日のことは違います、わたしから誘ったりしていません、、、、でもわたし、、、それを受け入れてしまいました、、、ごめんなさい、、、」
「ミドリ!」
母がミドリの頬を叩こうとしたのを山吹先生が必死で止めた。
「お互いに言い分はあると思います。わたし達もこの男子生徒の言うことを鵜呑みにしているわけではありません。正直言って、この生徒はかなり評判が悪いです。ただ未成年なのにホテルに出入りしたり、学校で性行為をおこなったことは絶対に許されてません。しばらくは自宅謹慎を申しつけます。」
つづく
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