主人の経営する会社は未だ自転車操業を続けている。僅かな利益があがったところで人件費が喰っていく。残りを借金の返済に回せばなにも残らないのが実情。それでも妻である結衣が、涙ぐましい献身的な行動が支えているのだ。いつまでこの状況が続くのかという悲観的な思いが無いわけではない、危機感もある。頂く魅力的な報酬で生活がどうにか回っているのだ。結衣に需要が無くなれば報酬は途絶える、そう考えただけでも身震いがした。
辞めたくても現実的には今、辞めるわけにはいかないのだった。
打ち合わせに出向いた。説明は簡単で、抽象的な言い回しなのも相変わらずだ。現場の状況で細かく変わるということだ。
シャワーを済ませ、何も考えないように努めたが、心は冷えていく…。
前回は知的、今回の衣装は清楚がイメージらしい。衣装は幾つも用意され、シチュエーションごとにチェンジだ。
撮影が開始された。色気に拘るカメラマンの指示通りに表情を造っていく。顎の位置、顔の角度、姿勢のバランスに至るまで指示が飛んだ。
表情だけで一体どれほどシャッターを切るのだろう。カメラから顔を離したカメラマンの表情が、難色を示している。
そろそろだ、そう思ったところに男性モデルが姿を現した。カメラに写らないように膝まつき、後から手を回してくる…。
ウエストから胸の下までを何度もはい回る。気分を盛り上げようというのだろう。
スカートのウエスト部分からトップスを引き出す。進入させた手がブラジャーを押し上げ、乳房を包み乳首の愛撫が始まった。体律儀には反応をするが、冷えた気持ちは変わらない。どうしても堅い表情になってしまう。
乱れた衣服を元通りに直され、前に回ってきた。
靴から足を抜き取ると、指をしゃぶりだした。
気持ち悪さに鳥肌が立つ。
足首から膝までを唇が、舌が這い回る。
こういうことが好きな人なら堪らないのだろう。
結衣はどうしても駄目だった。
膠着した現場の指示は強気の指示に動く。
結衣の膝に手をかけられた。頭では理解していても力が入り、抵抗してしまう。やや強引に膝が開けられ、仕方がないというように男性モデルが顔を突っ込んだ。
尻に手を回して顔密着させるので、熱い息が次々にショーツを通過する。
羞恥心に体が熱くなり、怒りの炎が灯った。
何なのだ、何様だ、奇人、変人、変態…………。
結衣は自分の思いつく限り、心の中で罵声を浴びせかけた。
待ってましたとばかりにカメラマンのシャッターが連写する。怒りに強張る表情が、変化してゆく瞬間がエロチックなのだ。
膝が少し持ち上げられる。触れて欲しくない所をピンポイントに唇を押しつける。上下に左右にと回していく。すると紅茶に砂糖が溶けていくように、強張りが解かれようとしていく。
甘味な感覚が訪れる予感がした。
支配されまいと無意識に抵抗してしまう。
結衣の表情が変化していく。無表情なのは変わらないのに、何かが違う。
怒りが薄れ、何かを悟られまいとするかのような無表情なのだ。ほんとに僅かな表情筋の弛みが人に抱かせる違和感。
内腿で男性モデルの顔をプレスする。
もう、無視できない刺激が脳まで送信されていた。
引き抜くように内腿から顔がなくなった。
腰のサイドに手が伸ばされ、やや強引にショーツが引き抜かれていく。
直接触れられたことに体が跳ねた。
舌先が優しく触れていく。
表情の変化を見逃すまいと、角度を変えることに余念がない。カメラマンの指がシャッターを連写する。
焦れったい。
いえ、いい加減して。
やめて…もう…あぁ…
………ンッックッ
指が入ってきた。
結衣を酔わせるポイントを往き来する。
肩に力が入り、腰が指を迎えにいくように勝手に動き始めた。
結衣は、平静さを努力して装った。
指が小刻みに上下する。
舌先がゆっくり舐め続ける。
俯きそうになる。
無意識に半開きになる唇。
あぁ駄目…気持ちいい
自分をコントロールできなくなりそう……
突然、中断された。
お預けをされた形になって、ほっとした気持ちの裏には名残惜しさが消えない。軽い違う意味の怒りが沸いた。
外での撮影に移るというのだ。
今回は一泊二日の予定だと聞いていた。それだけにどんなことが待ち受けているのかと気持ちが重いかったのだ。
早朝からの撮影に加え、長い移動時間にすっかり寝てしまった。
某地方競馬場。
始めての競馬場だった。
少し寂れたコンクリート造りの施設という感じだ。専門の新聞を手に予想に余念がない中年男性たちが、無数にいた。なかには家族連れのか、あちこちにいるようだ。
結衣たちは入口から離れ、左側に壁がある場所まで移動した。
目の前にはコンクリートの塀に錆びた金属製の手摺がお腹の高さまで伸びている。その下には椅子が並び、新聞と鉛筆を手にする人達が見下ろせた。
撮影スタッフは女性が一人混じっている。
男性スタッフに女性である結衣一人が取り囲まれていると不自然に目立ってしまう。それを防ぐ為である。
歓声が上がる中で、男性モデルが静かにしゃがみ込む。
壁とは反対には男女二人のスタッフが、結衣達を隠すようにいる。
結衣の前に回りロングスカートの中に潜った。
目隠しされてはいても、完全に隠れてなどはいない。不安しかない。
視線は前に向けていたが、緊張して動かせない。
現実感のない刺激が伝わり始めた。
スカートの中でお尻に回した手にがっちりと支えられ、動くことを制限されている。
膝の笑いが止まらない。
信じられないほど卑猥な音をさせても歓声が打ち消す。
腰を後に逃がしてしまうが、友達に扮した女性スタッフがじゃれつくように後からしがみついた。
女性スタッフもろとも不自然に体が跳ねる。
膨脹したクリトリス。
そこを繰り返し舌先が攻め立てた。
少し乱暴な舌業に耐える術はない。
大きく体が跳ね、小刻みな痙攣に襲われた。
へたり込みそうな結衣。
立ち上がった男性モデルが後に回った。
横に目隠しのスタッフが立つ。
スカートが捲り上げられて、尻が空気に触れた。
腰を後に引かれ思わす手摺を掴んだ。
………ンンンッウッ
膣壁が押し広げられてゆく。
そんな時に限って階段を上がる人がいた。
何気なく結衣達の一団に目をやる。
一人の女性が手摺を掴んで僅かな体が揺れていた。
その綺麗な女性と目が合った。どこか哀しげでもあり、何とも言えないような雰囲気なのだ。
色っぽい、そう感じた。
どこか色気を宿した目のその女性に興味がそそったが、大金を失ったのかもしれない。そんなことよりもモツ煮込みを食べたい欲求が勝り、先を急ぐ中年男性だった。
……早く通りすぎて。
そう懇願する結衣。
根元まで入れられ、奥に接触した所で静止された。動こうとしない相手に我慢ができなくなった。
自分で勝手に動いた。
波紋が広がるような甘い快感が染み渡る。
時々いろんな人がこちらを見た。
偶然見ただけで、視線が自分に止まるわけではないのに羞恥してしまう。
こんなところで……
そんな背徳感がスパイスとなって、快感が高まってゆく。
いやっ…やめて……もうこれ以上は…やめて……我慢できなくなる…クッ…もう…あぁっ……
堅く閉じられた扉が押され、圧力に歪んでゆく。
懸命に耐えた。
なのに、隙間が広ってゆく。
臀部がタプタプと忙しく形を歪ませる。
結合部からは溢れ出た愛液が、短く糸を引く。
ぺニスのカリ首が、容赦なく膣壁を擦り当ててゆく。
視界がスローモーションになった。
…だめ…もう…
結衣の尻が男性モデルの下腹部を連打する。
体が痙攣を起こし、男性モデルに抱えられなければ崩れ落ちていた。
結衣の中からは濃淡のある白濁液が、ナメクジのように伝い落ちていった。
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