そのあと七海と何を話したが全く憶えていない。
頭の中が真っ白になっていた。
七海もそして凪も本気なんだなと思った。
そして二人ともわたしのことなど眼中にはない。
わたしと陸は完全に終わりだと決めつけるように。
陸が七海を逞しく貫き、初めての女の歓びに叫び声をあげて愛を確かめ合う二人の姿が頭に浮かんでいた。
自分の意思で眠らせていた加奈子の女の欲望が目を覚ましていた。
陸に今すぐ抱かれたい。
陸といっぱいセックスしたい。
加奈子の躰は限界の悲鳴をあげていた。
やっと陸の住まいを知ることができた。
部活帰りの陸を尾行したのだ。
気づかれる恐れもあったが、何とか無事に見つけることができた。
築10年ほど小ぎれいな二階建てのアパートで
、二階の一番奥が陸の部屋だった。
その日は両親が法事で家をあけ、明日の夕方まで帰らない。
最後のチャンスかもしれない。
勇気を振り絞って陸を訪ねることにした。
陸は会ってくれないかも知れない。
いやきっと会ってくれない。
足が止まり、引き返したくなる。
その時雨が降り出した。
本降りになり止みそうにない。
傘を差そうとして、ふと思いとどまる。
そうだこのまま濡れて行こう。
雨が勇気を与えてくれるような気がした。
陸はもう帰宅しているはずだ。
陸の部屋へと急いだ。
シャワーを浴びて食事を済ませると玄関のチャイムがなった。
「はい、どちら様ですか?」
「、、、わたし、、、」
えっ、スコープを覗くと加奈子だった。
「どうして、ここがわかった、、、」
「あいたかったの、、、どうしても逢いたくて、探したの、、、」
「だめだ、帰ってくれ、、、」
「、、、、」
その時隣の部屋のヤマトが帰って来たようだった。
女連れのようで二人の声がする。
ヤマトは大学三年生で見た目は少し厳ついが、本当は人の良い優しい男だ。
背も高くガッチリした体型をしている。
一人暮らしの高校生である陸の面倒を見てくれる気のいい先輩だ。
ただ女好きで取っかえ引っかえ女を連れ込むのが陸の悩みのたねだ。
このアパートは壁の造りにやや難があり、ヤマトが女を連れ込むとあの声が筒抜けになる。
女からしばらく遠ざかっている陸には酷なことだ。
まあたまには、それをオカズにすることもあるが。
「陸、彼女、ビショ濡れだぞ、、部屋に入れてやれよ、、、風邪ひいちまうぞ、、、」
「そうだよ、陸くん、彼女,可哀想だよ、、、」
女はマユミのようだ。
何度か会ったことがあるが、かなり艶っぽい猫顔の美人で、細いのに胸と尻だけがかなり肉付きのいい30の人妻だ。
この人はアノ声がかなり大きく、声やセリフが色っぽいので、正直オカズにしている。
「えっ、、、」
思わずドアを開ける。
ヤマトの言った通り、全身をビショビショに濡らした加奈子が立っていた。
唖然としている陸にヤマトが声をかけた。
「可愛い子だな、、、陸の彼女か?」
マユミが興味津々で見つめてくる。
「全然違います。」
ヤマトはジロジロと加奈子を見る。
「ふーん、とにかく部屋に入れてやれ。」
「わかりました、、、」
加奈子はヤマトたちに黙ってお辞儀をした。
ヤマトがじゃあなと言って、マユミは陸にウインクをして自分の部屋に入っていった。
加奈子を部屋に入れる。
「どうして傘を差さなかったんだ?」
「怖くて、、、陸に追い返されたら、、、すごく怖くて、、、雨に濡れたら勇気が出るかなって思って、、、」
「しばらく会わないうちに頭がヘンになったのか?まあいい、、、とにかく風呂に入れ、風邪をひく、、、」
「うん、ありがとう、、、」
部屋を見渡す。
8畳一間でキッチンとバス、トイレがついている。
陸らしくキレイに整頓されていて、ベッドと机、椅子、あと衣装ラック、殺風景な、まあ陸らしい部屋だった。
タオルを渡された加奈子は脱衣所で濡れた服を脱ぎ、浴槽に入ると冷えた躰を温めた。
今のところどこにも女の形跡は見当たらない。
ホッとするがまだ安心出来ない。
その時、陸が脱衣所に入ってきた。
えっ、ひょとして陸も入るの?
胸がドキドキする。
「加奈子、服乾かすから持っていくな、、、ゴメン、下着は自分で頼む、、、バスタオルは置いておくけど、着替えは俺の服でいいか?」
「うんわかった、、、着替えは陸のワイシャツがいい、陸の大きいから上だけでいい、、、」
「そ、そうか、わかった、、、」
浴槽の中で温まった躰、思いきり伸びをする。
追い返されると思ったけど、陸はやっぱり優しい。
それに隣の二人には感謝の言葉しかない。
ふふっ、でも陸わかってるんだよ。
陸はワイシャツひとつの姿に弱い。
前にセックスのあと陸のワイシャツを着ているとき、チラチラと陸がいつも以上に加奈子の躰を見つめてきた。
加奈子はわざと胸のボタンを外し、ショーッが覗けるようにかがんで陸に見せつけた。
陸が襲いかかってきた。
すごく激しいセックスになった。
加奈子が何度絶頂しても許してくれなかった。
ワイシャツを着たまま陸に責められ続けた。
加奈子の頭の中にあのとき二人が思い浮かんでいつづく
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