この頃、娘に元気がない。
陸くんと何かあったのかしら?
まさか、あの時のキスが原因で、、、
不安が頭をよぎる。
心配で仕方がなかったが、それを思うと怖くて聞くことが出来なかった。
そんなある日、加奈子が思い詰めた表情でエリに相談してきた。
「お母さん、、、わたし、、、怖くて、出来ないの、、、」
「えっ、、何が?」
初めは恥ずかしそうに言い淀んでいた娘も、意を決して正直にすべてを話してくれた。
加奈子はあの日以来、セックスをしていなかった。
したくても躰が受け付けないのだ。
キスをしているときはなんともないが、それ以上の行為におよぼうとすると、あの時の恐怖が蘇り、気持ちが悪くなる。
躰が萎縮してしまい、陸を受け入れることが出来なくなってしまう。
陸が大好きなのに、心の中では陸をすごく求めているのに、、、躰がいうことを聞かない、、、
陸は焦らなくてもいい、、、いつまでも待つから大丈夫と優しく言ってくれるが、陸に済まなくてしょうがない。
加奈子は目に涙を浮かべてエリに訴えた。
エリは大丈夫、時間が解決してくれる、陸くんを信じてそのときを待つの、そう娘を慰めた。
うんと頷いた娘だったが、やはり不安をぬぐい去ることが出来ないようだった。
「でも、、、陸、面には出さないけど、、、すごくガマンしてると思う、、、、陸、、、すごく強いから、、、」
えっ、、、陸くんて、、そうなんだ、、、それって性欲のことだ、、よね、、それともエッチのこと?、、、きっと両方のことだ、、、、あの陸くんが、、、そんなにすごいの?
エリの中の女がズキンと疼く。
「陸のこと信じているけど、、、こんなとき、他の女の子が陸に言い寄ってきたら、、、、イヤだ、、、陸を絶対に取られたくない。」
加奈子は涙を流していた。
娘を強く抱きしめる。
心に傷を負ってしまった娘が不憫でしょうがない。
「大丈夫、陸くんなんだよ、、、信じなさい、、、もうすぐ全部元に戻るから、加奈子、絶対に大丈夫、、、」
自分に言い聞かせるようにそう言った。
わたしもイヤ、、、
陸が娘以外の女となんか、、、
そして、、、、わたし以外の女となんて、、、わたしも絶対にイヤだ、、、
エリはそんな自分の気持ちを抑えきることが出来なかった。
つづく
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