三人は七海の部屋にいた。
七海はやや小柄だが飛びっきりの美少女だ。
そして見かけによらず、物事をハッキリと言うタイプだった。
同じく小柄な正義感の強い、美少年のヒロと付き合っている。
凪は女としては長身でモデルのようにスタイルがいい。
艶のあるロングの黒髪で、顔立ちも大人びた、飛びっきりの美形だ。
穏やかな性格だが、ハッキリとした自分をもっていて、決してブレたりしない。
正直に言うと、以前からわたしは二人に対してコンプレックスを抱いていた。
外見はそれなりに自信があったのだが、この二人には遠く及ばない。
学業もそうだ。
二人は、陸もヒロも含め、いつもトップクラスだ。
この二人に勝てるとしたら、胸とお尻の大きさぐらいだ。
そして、わたしは凪も面には出さないが、陸に想いを寄せているのに気付いていた。
でも陸はそんなわたしを選んでくれた。
それだけがわたしの誇りだった。
それなのにわたしは陸を、みんなを裏切った。
重苦しい雰囲気を打ち消すかのように、七海が口を開いた。
「で、、、どうして、あんな男が相手だったの?」
わたしは正直にすべてを話す決心をしていた。
わたしは夏休み、陸が合宿に行く前日、陸の部屋にいた。
陸とたっぷりとキスをして、胸をはだけれ愛撫を受けていた。
そして陸が加奈子のすべてが欲しいと求めてきた。
いつかはそうなることを覚悟していたし、陸から求められ、嬉しい気持ちもあった。
でもいざとなると怖い気持ちが湧き上がってきて、陸の要求を拒んでしまった。
陸は少し落ち込んでいたが、怖がっている加奈子を優しく受け入れてくれた。
でもその日の夜、そのことを思い出しているうちに、ものすごい不安を感じるようになってしまっていた。
陸は優しく許してくれたけど、本当は煮え切らないわたしに愛想を尽かしてしまったんじゃないだろうか?
そして他の女の子と経験してしまうんじゃないだろうか?
他の女の子に陸を取られてしまう、、、
わたしだって本当は陸と初体験したいとずっと思っていたのに、、、
どうして自分は拒んでしまったの?
陸だって本当はすごく傷ついたに違いない。
加奈子は激しい後悔に襲われていた。
自分は取り返しのつかないことをしてしまったと思い詰め、眠ることが出来なかった。
翌日、陸はもう合宿でいない。
夏休み中、もう会うことが出来ない。
加奈子は不安で耐えきれず、凪に相談しようと凪の家に向かった。
凪はあいにく留守だった。
落胆したその帰り道、偶然アツヤに会った。
アツヤは明るく笑いながら話しかけてきた。
「どうした?深刻な顔をして、、、俺でよかったら相談にのるよ、、、」
思い詰めていた加奈子は、藁にもすがる思いで、その甘い言葉に飛びついてしまった。
加奈子はアツヤも仲間の一人だと思い込んでいた。
六人は友達だと思っていた。
つづく
※元投稿はこちら >>