それからが大変だった。
警察の聞き取りをやっとの事で終え、迎えに来ていた親たちとそれぞれが家路についた。陸は加奈子の父親が仕事で家を離れているということで、加奈子と母親のエリを自宅まで送ることにした。
まだ動揺が残る加奈子が落ち着くまで傍にいてやりたい。
母親のエリもそれを望んでいた。
ベッドに横になった加奈子は、そばに居てくれる陸に安心したのか、ようやく眠りについたようだった。
可愛らしい加奈子の寝顔を確かめて、部屋を出る。
朝までそばに居たかったが、そういう訳にもいかない。
リビングで心配そうにしていたエリに声をかける。
「加奈子、よく寝ています、、、じゃあ、俺帰りますね、、、」
エリは白のネグリジェにカーデガンを羽織っていた。
薄らと透けているブラジャーが高く突き上げていた。
薄化粧をした美貌がヤケに悩ましく見える。
やっぱりエリさんはすごくキレイだな、、、
昔からずっと思っていた。
いつか加奈子も、こんなにキレイで色っぽい女性になるんだなと思っていた。
そして姉妹といってもおかしく無いほど若々しい。
慌てて見とれていた視線を外し、玄関へと向かう。
「ちょっとだけ待って、、、」
エリが加奈子の部屋へと急ぐ。
すぐにエリは戻ってきた。
「本当によく眠っているわ、、、さすが陸くんね、、、、」
玄関で見送るエリの瞳が潤んでいるように見えた。
突然、帰ろうとしていた陸にエリが抱きついてきた。
えっ?陸はビックリしてしまう。
「陸くん、ありがとう、、、本当にありがとう、、、」
初めて見たときから好ましい少年だと思っていた。
スラッとした長身で整った顔立ち、そして穏やかに澄んだ瞳が優しい性格を現していた。
はっきり言って、エリの好みのタイプだった。
それがいつの間にか逞しい青年に成長し、娘と交際するようになった。
別れたこともあったようだが、こうしてまた付き合うようになって、加奈子を守ってくれた。
わたしの目にくるいはなかった。
そして娘がうらやましいと思った。
初めは戸惑いを覚えた陸だったが、エリもやっぱり動揺していたんだと感じていた。
一見、取り乱しもせず落ち着いているようだったエリも、心の中では加奈子のことが心配でしょうがなかったのだろう。
夫も留守にしていて心細かったに違いない。
つづく
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