そんなとき、一年先輩の東という男から交際を求められるようになった。
陸とは比べようもない平凡な男だったが、加奈子が断っても、熱心に粘り強く何度も告白を続けて来た。
心は全く動かなかったが、ヘンに力んだところもないし、悪い人ではないと思った。
わたしはある約束をすることを条件に受け入れることにした。
抜け殻になった自分にケジメをつけるために。
交際が進むうちに、男は当然のように加奈子の高校生離れした肉体を求めて来た。
きっとそれが一番の目的だと加奈子は気づいていた。
わたしは求められるままに躰を与えた。
もうどうせ陸との関係が戻ることはない。
陸とレナの二人のこと考えるたびに捨てばちな気持ちになり、抜け殻になった自分を男に委ねていた。
不思議なことに抜け殻になった躰でも、絶頂に達することが出来た。
男は見掛けによらず女の扱いに慣れていた。
でも躰も心も満たされることは無かった。あたりまえだと思った。
陸はわたしにとって特別な男だ。
そして陸はわたしが感じることだけを考えて、懸命に愛してくれた。
男は自分の快楽だけを求めている。
わたしの心などどうでもいい、、、わたしの躰が欲しいだけ、、、
東はわたしの躰に歓喜した。
このすごい躰は俺のものだと言いながら、何度もわたしを求めて来た。
わたしは男に抱かれているときも、陸のことばかり考えていた。
キスをするときも、フェラをするときも、クンニされているときも、そしてイクときも、、、
普段のときも陸が恋しくてしょうがなかった。
そんなわたしがケジメなどつけられるハズがなかった。
そんなある日、陸が一人で歩いている姿を偶然、目にしていた。
相変わらずの凛々しさに胸がときめく。
でも怖くて足がすくみ、声がかけられない。
でもこんな機会は二度と無いかも知れない。
わたしは思いきって声をかけた。
「陸、、、」
振り向く表情には、以前のようにわたしを温かく迎えてくれた笑顔は無い。
でもわたしは勇気を振り絞って陸と並んで歩いた。
「元気だった?」
「うん、、、、加奈子は?」
「わたしも、、、」
本当は元気なんか無い、、、
陸と別れてからずっと、、、
「陸、山吹さんとうまくいってるんでしょう?」
「ああ、、そうだな、、、」
つれない返事だった。
お前には関係無いと言わんばかりに、、、
「わたしもうまくいってるよ、、、心配しないで、、、」
心配などしてくれていないだろう、、、陸にとってわたしはもう、そのへんに転がっている石ころと同じなのかも知れない。
胸が締め付けられる。
そんなのイヤだ。
苦しいよ、陸、、、全部、わたしが悪いから、、、
こぼれそうになる涙をこらえる。
一度だけでいい、、、、もう一度、陸のぬくもりを感じたい、、、偽りのぬくもりでもいい、、、
「陸、、浮気しようか?好きとかじゃなくてさ、、、わたし、久しぶりにいっぱい気持ちよくなりたい、、、だからセックスしよう、、、」
わざとスレた言い方で陸に誘いの言葉をかける。
陸がすごい顔をして、わたしを睨んでいた。
頬を叩かれれる、、、そう思った。
思わず目をつぶる。
陸はわたしの顎に手をかけ、上を向かせた。
えっ、、、、
陸のクチビルが重ねられる。
陸のクチビルだ、、、
わたしは嬉しさの余り、両腕を陸の首に巻き付けて思いきりしがみつく。
舌を絡み取られ、引き千切らんばかりに陸に強く吸われ続けていた。
痛みを伴いながら、今までに感じたことのない痺れるような気持ちのよさに、腰が崩れ落ちそうになる。
「加奈子、、、いつもこんなことしてるのか?
、、、いつか、痛い目に遭うぞ、、、」
自分が言ったことが恥ずかしくて陸の顔が見れない。
陸はそう言ってわたしをホテルに連れ込んだ。
いや、連れ込まれたんじゃない、、、
わたしもそうしたかったから、、、
つづく
「ちがうよ、、、陸だからだよ、、、陸にしか言わない、、、」
陸は少しだけ優しい顔になっていた。
やっぱりわたし、陸が好き、、、
「だめだ、、痛い目に遭わせてやる、、、」
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