「ごめん、雑誌の取材で、男女の優勝者と俺の話を聞きたいって言われたみたいで、、遅くなりそうだから先に帰ってくれるか?」
「わかった、、、」
「気にしなくていいよ、、、」
「スゴイね、、、陸、頑張って、、、」
みんなは口々にそう言ったが、わたしは寂しかった。
陸と一緒に帰りたかった。
陸はすまなさそうにわたしを見ていた。
わたしはガマンして黙って頷いた。
「陸、早く、、、」
親しげに山吹が陸を呼んでいた。
陸はすいませんと言って山吹と一緒に行ってしまった。
「なによ、あれ、、、陸なんて呼び捨てにして、、、」
七海はムッとして言った。
「そうだね、、、でも山吹さんて、何となく加奈子に似てない?」
「うん、うん、わたしもそう思ってた、、、すごく雰囲気似てる、、、」
「そんなことないよ、、、わたし、、、あんなに美人じゃないっていうか、、、ぜんぜん負けてるし、、、似てないよ、、、」
「そんなことないって、、、でも加奈子みたいに山吹さん、胸大きかったね、、、それに写真で見るよりずっと大人びてるっていうか、、色っぽいというか、、、」
わたしはイヤな予感がしていた。
彼女の陸を見る目つき。
気もそぞろになり、みんなの話が頭に入ってこない。
気が付いたらいつの間にか家に帰っていた。
食事を済ませ、ベッドに横になっても気持ちが晴れない。
まだ陸からの連絡も無い。
まだ山吹さんと一緒だということだよね、、、
わたしにはわかっていた。
山吹は陸に対して好意を持っている。
それもかなりの好意を、、、
わたしは陸を信じている。
わたしを一番好きだと言ってくれた。
でもわたしは陸が一番好きなのに他の男に抱かれた。
陸だってそうするかも知れないのだ。
そうなってしまっても、わたしには陸を責める権利など無い。
いや、陸はわたしより山吹を好きになるかも知れない。
あんなに強いのに、スゴイ美人で、、、胸も大きくて、、、
わたしにはわかる、、、自分の胸が大きいから、、、山吹はわたしと同じくらい、、、いや、きっとわたしよりあるかも知れない。
陸がその躰に誘惑されたら、、、
わたしより大きな、形のいい胸をわざとらしく胸を張って陸にアピールしたり、陸の腕に押し付けて、触っていいよって耳元で囁かれたら、、、
そんなこと、、、胸が苦しくなって息が出来ない。
陸、イヤだ、、、そんなの絶対に、、、イヤだ、、、
これも他の男の誘いに応じてしまった酬いなのか?
陸のこと苦しめて本当にごめんなさい、、、
陸のためなら何でもする、だからお願い、、、
そんなとき陸から電話がかかってきた。
11時を過ぎていた。
「加奈子、起きてた?」
「うん、陸の電話、ずっと待ってた、、、」
「遅くなってすまない、、、今帰ってきた、、、」
「ううん、いいの、、、取材だもの、しょうがないよ、、、」
山吹さんと二人でいたの?山吹さんと何かあったの?
聞きたい言葉を飲み込む。
聞くのが怖い。
「ごめん、、、」
えっ、、、何か、、何かあったの?
「俺、勝ちたかった、、、今日、加奈子に勝ったところを見せたかった、、、」
ホッとしていた。
でも陸の悔しさがすぐに胸に伝わってきた。
「俺、加奈子があんなに応援してくれたのに、、、応えることが出来なかった、、、俺って、、弱いな、、、」
「そんなこと、、、そんなことないよ、、、わたし、陸ってすごいなって思った、、、わたし、ぜんぜん素人だけど、、陸が一番強い思う、、、陸が一番カッコいいと思う、、、」
「ありがとう、、、加奈子、、、俺、加奈子が彼女で良かった、、、」
「わたしもだよ、、、陸が大好きだよ、、、わたし、試合のあと、陸を慰めたかった、、、陸のこといっぱい抱きしめて、、、いっぱいキスしたかった、、、」
「うれしいけど、、、それだけ?」
「ううん、、、それ以上、、、」
「それ以上って?」
「もう、、、陸のエッチ、、、」
「ゴメン、、、なあ、加奈子、、、明日、朝からデートしないか?」
「うん、わたしも朝からいっぱい陸とデートしたい、、、」
「俺といっぱいデート、、、したいんだ?」
「うん、、、陸といっぱいしたい、、、」
顔が熱くなる。
「俺も加奈子といっぱいしたい、、、」
「陸、、、すごく逢いたい、、、早く逢いたい、、、陸、すごく好き、、、」
「俺も、、、」
翌日、二人はデートした。
つづく
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